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「CHAOS;HEAD NOAH」 レビュー

過去にPCで発売されたものに、様々な追加シーンを収録してXbox360,PSP,PS3で発売された作品です。 本レビューではPS3版について書きます。

渋谷で巻き起こる連続猟奇殺人事件。 典型的なキモオタである主人公・西條拓巳の身辺で起こる不可解なできごと。 それはある夜を境に交錯し、「その目だれの目?」でリンクしていく。 これはいつもの妄想か、それとも現実か。

妄想と現実の境界線が曖昧になっていく過程、自己の曖昧さ、陰謀論。 そういったものを主軸に色々なものをミックスさせた科学ADVシリーズの第一作であります。

細かい突っ込みどころや、すんなり飲み込めない部分などもありますが、全体的に薄ら寒く、不気味な雰囲気がよく出ています。 特にアンリアルなものとリアルなものをバランスよく織り交ぜることで、独特のリアリティが生まれている点は特筆すべきでしょう。

ネタやキャラはかなり好き嫌いがわかれそうではありますが、全体的に高い水準でまとまった良作です。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 恐怖感・危機感を煽る猫写はなかなかうまい。
  • 声優陣も概ね気合の入った演技で、臨場感はかなりあります。
  • 中でも、西條拓巳のキモオタ具合はかなりGood!!
  • BGMはあまり印象に残らないものが多いものの、緊張感あふれる場面や恐怖におののく場面での曲はいい感じ。
  • 無印版に比べ、各ヒロインにフォーカスしたシナリオが無理なく追加されたことで、消化不良な印象が減退。
  • システムもPC版に比べて快適に。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • 妄想と現実が入り乱れる猫写が多いため、ある程度状況や情報を把握・整理しながら読まないとゴッチャゴチャになる可能性も。
  • インターネットスラングの使用・猫写には少々強引さも感じる。
  • 立ち絵、CG(一枚絵)で違和感を感じる部分も。 バランスもあまり良くないような。
  • そこそこエログロな表現がある点は、人によっては注意。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • OP曲、グランドフィナーレで流れる曲はPCオリジナル版の方がよかったかな、と。
  • 一部の表現に難あり。
  • また、一部表現が軟化・カット?されているような。 あの人の死に様とか……。
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オカルトに一定の説得力を持たせる試み

オカルトで大人気な陰謀論に、科学的な理由・理論をくっつけて説得力をもたらしているのが本作の骨子であり、それはある程度以上には成功していると思います。

妄想という誰しも行うであろう行為、渋谷という現実味がある(人によっては身近な)ロケーションを選んだことによる現実味、そして多くの虚構。

これらをバランスよく配分することによって、トンデモ設定&トンデモストーリーであるにもかかわらず、「もしかしたら、ないこともないのかもしれない」というある一定のリアリティを感じさせることを実現しているのですね。

プレイヤーの分身というべき主人公・西條拓巳も陰謀論などには懐疑的な立場から描かれていますから、その主人公が狂気の世界に触れ、入り込んでいくと同時に知らず知らず同調していることでしょう。

これがすなわち、本作への没入感となっています。

メタな部分も含めて、実在のものをモデルにしたものも多くありますから、うまく“シンクロ”して妄想しつつ本作を味わえば、より楽しめるでしょう。

表現でもったいない点も

そんな本作ですが、一部の表現でもったいないことをしています。

たとえば、連続殺人事件(ニュージェネ事件)の報道。 まぁ、恐怖感を煽るためだとは思いますが、テレビでのニュースってここまで仔細に事件内容を報道しないと思うんですが。 ちょっとだけ、リアリティに欠ける気がします。

別の部分では「跳ねる」という言葉について。 あるシーンでこれが使われているんですが、正しくは「刎ねる」なんですよね。 首を刎ねるならまだしも、首が跳ねてたら本当のホラーですよ。 こういうミスをするくらいならひらがなでよかったのでは、と。

他には……「おもむろに」の使い方。 「おもむろに」は「ゆっくりと落ち着いた様子で行動に移る」ような表現なんですが、本作では誤用であるところの「(前触れもなく)突然に」というような使われ方をしているように見える場面がいくつかありました。

割と多くのシーンで「おもむろに」が使われており、正しい意味でも間違った意味でも通じる場面が多かったりしますので、イマイチどっちの意味で使っているのかも曖昧です。

言葉・文字づかいにこだわる(そのくせ、破綻している)私の悪い癖といえばそれまでですが、テキストが命なタイプの作品であるからこそ、誤字や誤用は気になります。

楽曲はPC版の方がいいかなぁ

こればっかりは好みにもよるんでしょうけれども、新たにOP曲などを書き下ろす必要があったのか?と。

各ヒロインごとにルートが設けられたことで、各ヒロインED用のキャラソンのようなものが追加されるのはわかるんですが、それ以外の部分では刷新する理由がわかりません。

それくらい、PCオリジナル版の楽曲は本作にマッチしていたんですよね。

で、NOAHになってからの新曲を聞いてみたんですが……なんか、イマイチピンと来ないんですよね。 悪くはないけど、凡曲だよね、っていう。

まぁ色々と大人の事情あっての差し替えでしょうが、残念でなりませんね(挿入歌として流れる場面はあります。やはりこっちの方が燃える)。

(勝手に)ヒロイン別寸評

寸評と言いつつ評価というよりコメントに近いモノです。 読む価値はないと思います。

咲畑梨深:
変化球型幼なじみキャラ。 無難かつ安定した魅力でそれなりに幅広く受け入れられそうなキャラ。
メインヒロインということで出番は多いですし、印象に残るイベントの数も比例しています。

西條七海:
妹キャラ。 生意気で素直じゃない、けどお兄ちゃんラブという多くの属性をぶち込んだあざといキャラ。
しかし物語終盤のアレなど、色々と出番も多くファンも多いような気がします。 あざとい。
もちろん、私も好きです! あざとい。

蒼井セナ:
ツンデレなんだかクールなんだか素直じゃないんだかよくわからんキャラ。 なかなかあざとい。
かなり強烈な電波っぽいようでいて実は……ということを始め、ギャップの応酬です。 あざとい。
過去のエピソードはなかなかエグくて印象に残ります。

楠優愛:
おっとり優しげにしてヤンデレ、いや、病んでるというかアレなキャラ。 怖い。
いい感じに西條拓巳君やプレイヤーに迫ってきます、心身ともに。 怖い。
五段活用を巧みに駆使している点からも話術が堪能とお見受けします。
やはり、彼女の過去エピソードはしんみり来ます。

岸本あやせ:
挿入歌や以後の作品でも出てくるファンタズムのヴォーカル・FESでもあるキャラ。 中二病キャラ。
ポスト綾波のような外見の通り、そっち系のような、そうでもないような感じであります。
ネタキャラには大いになりそうですね。 邪心が口癖の模様。

折原梢:
小動物であり、窮鼠猫を噛むというか噛んだら味をしめて頻繁に噛み付くようになった、ある意味本作最狂キャラ。 怖カワイイ。
もはやロリ&巨大武器というのはテンプレなのでありまして、でもってテンプレということは需要というか受け入れられる層があるからなのでございますが、まぁ、そこにドンピシャなのが彼女。
一番お近づきになりたくない人物だけど、個人的に七海の次に好きなキャラでもあったりするので、やっぱり可愛いは正義なんでしょうかね。 いや、百歩譲っても可愛いで中和ですか。

総括

割と好きなタイプのメーカーの作品であるがゆえ、やや厳し目にチェックしていますが、(多少人は選ぶかもしれないけれど)間違い無く良作です。

多分NOAHからの追加部分なんでしょうけれど、後続の作品をプレイしているとニヤリと出来る小ネタもあったりして、端々で遊び心も感じられて好感触です。

続くSTEINS;GATEの完成度が高すぎて忘れ去られがちですが、本作もかなりのポテンシャルを持った作品です(ROBOTICS;NOTESにはしょんぼりでしたが)。

しっかりと読ませる、楽しませる、引きこませるという点をちゃんと実現できている作品なので、AVG好きの人にはなるべくプレイしてみてもらいたい作品です。

妄想科学ADV『CHAOS;HEAD NOAH』

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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『「CHAOS;HEAD NOAH」 レビュー』へのコメント

  1. 名前:random walk 投稿日:2013/04/20(土) 21:35:32 ID:1a5d51056

    PS3版が出ていたんですね。私はXbox360版でやりました。5pb第一弾ということで、システムがこなれてなくて、スキップが物凄く遅かったんですよね。PS3版はそんなことないんでしょうね。

    私、5pbの作品は好きなのですが、カオスヘッドはその中でもかなり好きですね。ちょっと、超科学的なところが好きです。純粋に科学的に見てしまうと、突っ込みどころ満載で、作者が言う、99%の科学と1%ファンタジーというのは言いすぎな感じがします。でも、私、リアルであることが重用だと思っているわけではなく、エンターテイメントとして楽しませるためには、嘘っぽい話に統一感ある世界観で設定を与えて、説得力をもって書かれていることが重要かなあと思います。冷静になれば、フィクションなのは明白なんですけど、ゲーム中はそれを感じさせない、現実とフィクションの狭間を楽しませてくれるところが好きです。リアルなものも好きですけど、私の好みは、空想的なものが入っているのが好きですね。ということで、超科学的な設定は私の好みですね。現実では見れない夢を見ることが出来るところがです。

    キャラ的には、七海が好きです。現実にお兄ちゃんラブな妹はいないと思うので、そこも夢なんでしょうね。衝撃的なというか、辛いこともありましたが、本物のお兄さんとの絆を感じるお話はよかったですね。亡くなる前に最後にリアルブートしたのが、妹の手首というところも、兄の優しさを感じますね。

    • 名前:壬生狼 投稿日:2013/04/20(土) 23:31:38 ID:5876f5258

      どもども~!

      ありゃ、Xbox360はスキップ遅かったんですか? PS3版では普通レベルの快適さでしたが、Xbox360版はPC無印版と同じような感じだったのかもしれないですね。 PC無印版はシステム面はかなりしょっぱい感じでしたから。

      random walkさんの本作への気持ち、よく伝わって来ました!

      >99%の科学と1%ファンタジーというのは言いすぎ
      これは確かに言い過ぎではありますが、嘘の中にちょっぴり真実を混ぜ込むだけで信憑性が増すと言いますか、それを体現しているのが本作だと思います。 その中で、私が重視するリアルさというのは、「もしかしたらあり得るかもしれない」という気にさせてくれる、没入感を向上させるものとして捉えています。

      単にリアルなだけだったら、さほど起伏のない淡々としたものに終わってしまいますから、本来フィクションが持つ面白みがほとんどないですもんね。

      いずれにせよ、説得力のある世界観や設定という点においては、それが重要であることには変わりないですね。

      >冷静になれば、フィクションなのは明白なんですけど、ゲーム中はそれを感じさせない、現実とフィクションの狭間を楽しませてくれる
      これが、ゲームでも映画でもアニメでも……作品に触れていて「イイ!」と思える箇所ですね。

      >キャラ的には、七海が好きです
      ( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ
      そうですねぇ、見せ場が単にベタベタ甘えてくるところだけじゃないというのもいいですね。 あと、拓巳が一番輝いて見えたのも、七海絡みの出来事だと思っておりますし。 とか言いながら、わんこっぽい魅力があるからこそ、好きだったりします。