「FANTASY HERO~unsigned legacy~ (ファンタジーヒーロー アンサインドレガシー)」 レビュー

PS Vitaでダウンロード専用タイトルとして登場した、純国産ハクスラ系ARPG。 Diabloに代表される見下ろしARPGを、ジャパニーズファンタジーなテイストでアレンジした意欲作。

……だが、安価ゆえか、価格相応の出来というかなんというか。 ゲームとして遊べなくはないものの、圧倒的ボリューム不足やシステム面の不備、トレハンの面白みの薄さなどがネック。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 敵キャラがキモかわいかったりと憎めないデザイン。
  • 出来はともかく、純国産のハクスラ系ARPGというのは貴重だし、後続を生んでくれれば……とは思う。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • キャラビルド(育成)の自由度はそこそこ高めなものの、どの方向性で育てるのが無難かなどの指標がなく、やや場当たり的。
  • せっかくのトレハン・武器強化システムも、その地味さやコンテンツの少なさから面白み・楽しみに直結できていない。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • キャラは4人から選べるにもかかわらず、1キャラしか作れない。 追加キャラ枠は有料。
  • システム周りが洗練されておらず、不便。
  • バランスはかなり大味で、納得行かない場面もちらほら。
  • シナリオの陳腐さ、ノリの迷子さ。 そしてら抜き言葉など、テキストのレベルの低さ。
  • マルチプレイ対応だがアドホックモードのみというアレさ。 まぁ予想されるプレイ人口を考えると……。
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歓迎したいけど称賛はできない

貴重な国産ハクスラゲー枠ですし、日本向けにアレンジしたデザインなので今後の業界全体の動向に小さな一石でも投じられていればと歓迎はしたいものの、称賛はできない完成度となっています。

まず目につくのは画質の粗さ。

キャラモデルが微妙なクオリティながら、なぜか乳首と筋肉の描画にはこだわりを感じるテクスチャ。

縁の太いマンガ調というかカートゥーン調?なデザインで誤魔化していますが、PSPに産毛が生えたレベルです。

特にテキストフォントは実機ではかなりボケており、それこそPSPのゲームをPS Vitaで遊んでいる時の感覚を呼び覚まします。

まぁこの手のゲームはグラフィックで売っているわけではないので、どうでもいいっちゃいいんですが、せめてテキストフォントくらいはPS Vitaの解像度に合わせたものにしてほしかったなと。

続いて気になるのがUI・メニューの不備。

これがメインとなる画面なんですが、ナビゲーションキャラがしゃべると、右上のミニマップの上にテキストがもろかぶりし、重要度の低い情報に重要度の高い情報が干渉するというひどいデザインになっています。

しょうもない……いや、他愛のない会話のせいで、マップ表示領域を占領されるのです。 これはかなり邪魔臭いです。

仕方がないので、その都度マップを開くことにしましょう。 では、マップをタッチして拡大しましょうか。

……できません。

タッチパネル搭載のPS Vita。 マップ表示のあるゲームにおいては、ミニマップをタッチすることで拡大表示できたり、ボタンひとつでマップを呼び出せる仕様のものがほとんどですが。

本作は、スタートメニューを開き、全体マップを表示……と丁寧にコマンド選択肢ないと全体マップを見ることができません。 しょうもない会話の最中に目的地を知るには、いちいちスタートメニューからマップ表示しなくちゃならんのです。 めんどくせえ!

携帯ゲーム機ってボタン数も少ないし、手軽に遊べてこそのものだと思うんですが、本作ではそのあたりのユーザービリティ設計がなっていないのです。

その他の部分でもメニュー周りは無難なものの快適とは言いがたく、なんとなく“おっくう”な印象を受けてしまいます。

そんなシステムに支えられるハクスラの醍醐味のひとつ、トレハンも薄味。 装備は現物ドロップと、素材による武器強化が存在しますが、達成感・強化感とは無縁で、どうにもアイテム集めが楽しくないのが辛いところ。

加えてゲームバランスも決していいとはいえませんし、ミッション数も少ない(有料DLCも内容の割に合わない印象)ときたもんで、継続プレイする意欲は湧いてきません。

せめてキャラ枠は2つは必要

本作では指向性の異なる4人のキャラが存在し、使用キャラによってプレイフィールは多少の変化を見せるのですが、初期状態で作成できるキャラクター数がなんとたった1人というアレな仕様になっています。

2人以上のキャラを使おうとすると、データ削除してやり直すか、課金して追加キャラ枠を買わねばなりません。

プレイヤーキャラに選択幅をもたせ、異なるプレイが可能ですよと謳っておきながら、キャラクター作成枠を1に制限するのは、さすがに金にがめついとしか思えません。

もちろん現状でもキャラ作成と削除を繰り返して最適なキャラを見つけることはできますし、そもそも、複数キャラを育てる意義や楽しみ、そうして挑むコンテンツが皆無なので問題にならないといえばそれまでなのですが……それはそれでどうなのでしょう。

こうして必要に迫るタイプの課金システムはマイナスイメージしか持てません。 「これなら課金してもいいな」「今でも問題ないけど、もっと便利にしたいな」「他の人と少しでも変化をつけたい!」という方向での課金意欲を刺激してくれたほうが、ユーザーとしても気持ちよく課金できるんですがね。

総括

日本人好みのするアニメ調キャラによるハクスラ系ARPGということで、個人的には歓迎しますし、この流れを応援したいとは思います。

しかしそれはそのままこの作品への評価・応援したいという気持ちと決してイコールではありません。

むしろ現状では後続を生むどころか、敬遠させてしまうのでないかと思ってしまうほどの質の低さと内容の薄さが気にかかります。

アークシステムワークスといえば現在の格ゲーにおいてはビッグネームといえるレベルのメーカーではあるのですが、必ずしも良作ばかりとはいえないというのは今回身にしみました。

と言いつつも、同社が2013年にリリースしたダマスカスギヤというハクスラ系ロボアクションゲーは、非常にニッチで小粒ながらも、少なくとも本作よりは遥かにともなハクスラになっていた気がしたんですがね。 どうしてこうなった。

あ、ちなみに本作に登場するデコーダー(敵)は、(キモ)かわいかったり、でもおっさん声の悲鳴あげたりして面白いです。 なお、この動画に出てくる鶏(とりんちゅう)がなんか好きです。 某ソフトウェア社のペンギンっぽいアレに近い何かを感じる。

FANTASY HERO ~unsigned legacy~ | Sony Entertainment Network 日本

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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