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「高2→将軍」 レビュー

高校生活を送っていて、突如戦国時代にたどり着いてしまったら?

そんな、 妄想をそのままゲーム化したような大きなインパクトを放つタイトルの本作ですが、割と史実に忠実なシナリオが展開されていき、膨大なテキスト共に読み応えのある内容が楽しめます。

反面、学園パートの不出来が惜しまれる、不遇の珍作。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 恋愛シミュレーションと、サウンドノベルをくっつけるというCRAZYなセンス。
  • ネタゲーかと思いきや、中々に引きこんでくれるノベル(戦国)パート。
  • 登場する武将らの描き方もよくできていて、イメージがしやすい。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • 選択肢やシーンにジャンプできる「りれきモード」を搭載しているが、さかのぼることしかできない。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • 学園パートの完成度、テンポが戦国パートに比べてイマイチ。
  • 学園パートにおけるヒロインや、友人キャラ(男)の描き分けがなってない上、いずれも外斜視気味。
  • 「りれきモード」があるとはいえ、スキップ機能や快適なログ機能が欲しくなるところ。
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詳細

気がついたら異世界・過去にいた!みたいな話は今でこそよくありますし、誰しも一度くらいは想像するネタだと思います。

が、初代PS後期(ハードとしては末期)というある意味カオスな時期に生み出された本作は、高度な整合性を求めず、そのまま想像のまま形にしたものでありました。

序盤の学園パートでは、往年の名作「ときめきメモリアル」を彷彿とさせる、恋愛シミュレーションが展開。

プレイヤーはヒロインと交流したり、試験で高評価を得て(勉強するわけじゃないんですね)パラメータを上昇させるなどして、以降の戦国パートに備えます。 ここでの行動や、最終的なパラメータが戦国パートに影響を及ぼすためです。

ある程度学園パートが進むと、突然、何かしらの原因によって戦国時代へ飛ばされ、以降は基本的に戦国パートが進行します。 ここからは、「かまいたちの夜」のようなサウンドノベルに変化。 意外とサックリ死んじゃったりする、シビアな世界に放り出されます。

この荒唐無稽さは、ほぼ無名メーカーでなおかつハード転換期という混迷の時代であるからこそ生まれたのではないかと思います。 それほどまでに、このよくわからない組み合わせはCRAZYとしか言いようがありません!

イロモノと侮るなかれ。意外とシナリオはよくできています

そんな本作、さぞシナリオもとんでもない・しょうもないものだと思われがちですが……意外や意外、結構楽しませてくれるんですよ。

プレイヤーは随所に現れる選択肢を選ぶことで、“ある程度は”自由に歴史に介入していくわけです。 そうしてifの歴史を綴ったり、史実を追体験していくことになります。

ifシナリオなどは本作らしく荒唐無稽でぶっ飛んでいるのも多々あるわけですが、それも含め、史実に忠実に進めた場合は割と時代考証などがしっかりなされた物語が展開されます。

後述の学園パートの不出来に比べると戦国パートの完成度はかなりいい感じになっていて、制作陣は戦国パートを描きたいがために仕方なく学園パートを入れたんじゃないか?と勘ぐりたくもなる落差がありますね。

物語中に登場する織田信長や木下藤吉郎(羽柴秀吉)、明智光秀などといった武将の面々はいずれも個性的に描かれていて、どのキャラクターも容易にイメージが可能なように丁寧に描かれています。

135あるという膨大なエンディング(ゲームオーバー・デッドエンド含む)が存在するだけあり、お腹いっぱいテキストを楽しめます。

「りれきモード」がなければ投げていた!

本作には数多くの分岐が用意されているため、「りれきモード」というシーンジャンプ機能が搭載されています。 これにより、選択のミスをしても即座にやり直すことも、別のルートの結末にたどりつくのも容易です。

惜しむらくは、この「りれきモード」は「履歴」のとおり、今まで通ってきたルートの範囲内でしかジャンプできません。 その周回以前にクリアしたルートや、現在進行中のルートの先のシーンへのジャンプはできません。

それゆえ、最初からやりなおす際には結果的に相当の労力が必要になってしまうのです。 惜しい!

また、既読スキップやバックログもないので、周回プレイの快適さの最適化は今一歩な印象。

学園パートにも注力して欲しかった!

おおむね戦国パートは楽しめるのですが、戦国パートへ入るのに必ず通る学園パートの出来がお粗末。

学園パートでの行動が戦国パートにも影響があると既に書きましたが、影響がわかりにくい・予想しにくいのがなんともはや。

勉強面では国語や数学、英語、歴史などといったパラメータがあり、まぁなんとなく「どこかでこの知識を活かすんだろうなぁ」とは予想出来ますが、このパラメータの成長度合いが謎。

パラメータはどういう基準かはわかりませんが、期末試験での結果に左右されることになっています。 上昇幅はもしかしたら、正答を選ぶまでの時間が関係あるのかもしれませんが……期末試験で学力が上がるってどういうこと?

試験前にはお馴染みの光景である「テストの予想問題を、登場キャラが出してくる」というのもあって、学生時代っぽさを出そうとはしています。 あらかじめ仲良くなっておくと、その予想問題が実際に出題されるという効果もあるそうで。

それはいいんですが……もし答えを間違っても「違う」としか言ってくれないんですよね。 冷たい! それほど難しい問題は出てこないですが、得手不得手とかあるわけで……このへんのフォローも欲しかったかな。

それと、学園パートの人物描写が致命的にダメ! 男女いずれも外見・中身ともに魅力に欠けます。 特に外見は男女ともほとんど判子絵という致命傷。 なんだこれ、ヅラ変えただけじゃないか! 顔も多くが外斜視気味なのも気になります。

システム面では、この学園パートはフルボイスなわけですが、ボイス再生を待たずにテキストスキップができないので、昨今のAVGなどに慣れているとテンポの悪さを感じますね。 しかし、こんなのはたいした問題じゃありません。

恐ろしいことに、登場人物とは正常な会話ができないことが多いです。 相手が質問を投げかけてきて、それに選択肢で答えて好感度を操作する……というおなじみのシステムがあるものの、どれを選んでも反応が変わらないので、どれが正しい選択肢なのか全くわからないのです!

ある意味リアルな気もしないでもないのですが、会話が噛み合っていない場面も多々あるので、妙な不気味さが感じられて感情移入ができません。

そしてさらに! 意中の人と能動的に仲良くなることができません!!

Aというキャラクターと仲良くなろうとしても、先に挙げた選択肢システムのせいで好感度操作がしにくく、そのせいでゲーム中の登場回数が減り、全く興味のないBというキャラクターといつの間にか仲良くなっていることがあります。

そして、「仕方ない、Bで我慢するか……」と諦めてBと仲良くしようと腐心していると、今度はいつの間にか男の友人キャラが多く出現することが多くなってきて、最終的に友人キャラが最も好感度が高い!という、悲劇ともいうべき状況になることもザラです。

いつの間にか仲良くなっていた、なんてのはまさしくリアルな体験ですが、その過程を埋めるエピソードなんて存在しない(というか記憶欠落のごとく飛び飛びに展開)ので、ゲームに振り回されている感が強くてどうにもやる気を削ぎます。

せめて、好きなキャラに会いに行くとかで出会うキャラクターを少しでもコントロール出来れば……。 まぁ、ここで好感度を上げたとしても、戦国パートでどの程度変化があるのか、影響を及ぼすのか、エンディングがあるのかはわからないんですが。

総括

学園パートが最初にして最大の難関。 はっきりいってここで投げ出しそうになりますが、グッとこらえて戦国パートまで行くと、それなりに読ませ・楽しませてくれるシナリオが展開するので、そちらはオススメ出来ます。

ゲームアーカイブスにて600円で配信中で、本作に関しては値段相応のクオリティとすら思える部分もあります。 が、なんといっても、奇抜すぎるゲームデザインに関してのみは、価格以上の価値があるかもしれません。

恋愛シミュレーション要素はおまけというか、ないものとして捉え、戦国パートの攻略などに没入するのが最善の選択でしょうね。

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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