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「新・剣と魔法と学園モノ。 刻の学園」 レビュー

新・剣と魔法と学園モノ。 刻の学園

従来のWizardry系3DダンジョンRPGから3人称視点のRPGに生まれ変わった新シリーズ1作目。

プレイヤーは新たにできた冒険者育成のための学園の生徒会長として、開校早々に転校してきた転校生とともに様々な依頼・冒険をこなして成長していく。3人の転校生ごとに異なるシナリオが展開されるマルチシナリオ・エンディング搭載。

バランス調整周りで抜かりがあるように感じられ、全体的に大味。手軽でライトな印象も受けるだけに、作りこみ不足がもったいない作品です。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 過去作品と比べてシナリオの出来は改善されているし、学園モノっぽさも増している印象。
  • 全体的に難易度が低下しており、ライト層でもプレイできる難易度になりつつある。
  • 3Dポリゴンで描かれるキャラクターはコロコロしていて可愛らしい。
  • 楽曲も過去作品よりも質が向上しており、印象に残るものもちらほら。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • フィールドタイプRPGになったものの根っこの部分やお作法はさほど変わっていないので、根底にあるのはいつも通りの流れ。
  • シナリオの出来にバラつきがある。ロジェ≧モーリア>キュービットといったところ。
  • 全体的な難易度やバランスは従来のシリーズ作品よりも平易化したものの、季節ごとの難易度上昇率はやや理不尽。
  • パーティメンバーは自分で作成したキャラ3人+NPC(転校生)である点。NPCは任意で外すことは出来ない。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • シナリオ(テキスト)担当が複数いるのか、表現に食い違いが一部で見られる。
  • BGMとイベント会話シーンを除く音声の音質がかなり劣悪。戦闘中ヴォイスは何を言っているのか判別が苦しいものも多数。
  • キャラメイクの自由度はパーツの減少などにより実質減少。キャラヴォイス候補もイマイチなのが多く、特に男性ヴォイス全般の不遇・不出来っぷりは問題。
  • 戦闘演出が前時代的でチープどころではない。RPGツク○ルかと思わんばかりである。
  • サブ学科廃止の上、種族専用学科の条件付き解放など様々な要因により学科ごとの個性がやや減少。
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詳細

新シリーズということで、見た目を刷新して現れた本作。従来の作品は「剣と魔法と学園モノ。」と言いつつもイマイチ「学園モノ」という印象が希薄で、幸いそれは大した問題ではなかったものの、同時にシナリオには期待できない要因でもありました。

しかし今回は比較的シナリオにも力を入れたと見え、ちょっとは物語に興味を持たせてくれます。

過去作では依頼(クエスト)形式で物語が進行するために何かと物語がぶつ切りになっていました。当然、生徒達のやりとりや絡みも少なく、ましてやどこに学園要素があるのか疑問なレベル。

本作でもやはり依頼形式で物語が進むのですが、ちょっとした仕様変更により状況は変わります。

例えば「3」では3校が点在して、その間にダンジョンが横たわっている形でした。一方本作では学校は1つのみでその周囲にダンジョンが点在している形に。 拠点が1つになることで、キャラの描写の深化が容易になっているのです。

何の依頼を受けるにせよ、誰かしらの生徒や教師と接点を持つことになるので、単純に絡みが増えることで1キャラあたりの出番が増え、描写が細かくなった印象です。

また、転校生の1人である「ロジェ」のシナリオでは過去最高の「学園モノ」っぽさの堪能が可能。加えて各施設の利用も選択肢式からマップ式に変わったのも、視覚的にそれっぽくなりました。

まだまだ他の強豪RPG勢には及ばないものの、シナリオも立ってきたという印象です。

キャラグラフィックにも触れておきましょう。以前まではステータス画面などの立ち絵くらいしか外観がわかりませんでしたが、今回はダンジョン探索中や戦闘中でもその姿を見ることができます。

そこまで精巧ではないし動きもはしょっている部分もあるのですが、それがまたコロコロちょこまかしていて可愛らしいのです。モデル自体もSD(デフォルメ)イラストと比較しても違和感のないように作られており、勝利時や状態異常時の表情もキュートです。

シナリオの作りこみ不足と、バランスの崩壊っぷりが……。

シナリオの完成度が高まったと言いつつも、やはり出来不出来は目立ちます。

前述のとおりキュービット・モーリス・ロジェという3人の転校生ごとにシナリオがあり、誰を転校生として迎えたかによってメインシナリオの印象はガラリと変わります。公式サイトなどを見ると「繰り返される学園の謎」だとか、そもそものサブタイトルからもだいたいの物語のネタの予想はできます。
※ちょっと前に流行ったループものですね。

そこで本作はきっと3人の視点からそのループ現象の謎に迫るのだなと。そう思っていたんですが……違ったんですね。本当に三者三様の全く無関係な物語が独立してあるんです。

つまり、キュービットシナリオにはロジェは全く出てこないし、モーリスのシナリオだとその他の2人は存在を匂わせることすらない。当然、3人のシナリオをクリアしたからといってトゥルーエンドルートが開放されたり、衝撃的な真実が明かされる!ということもないのです。ここは注意すべき点でしょうか。

各シナリオに目を向けてみるとモーリスとロジェが同程度の出来。キュービットのシナリオは最も本作にマッチしていそうで最も出来が悪いです。

ロジェシナリオは「学園モノ」らしい側面が濃厚で、無難な仕上がり。モーリスシナリオは笑いも感動もうまく盛り込もうとした努力の跡が見られるものになっています。

一方キュービットシナリオは、説明や描写の不足によって納得の行かない内容。生徒会長≒プレイヤーであるにもかかわらず、ある時点からは「経験を共有できていない」です。

例えば過去の出来事も描かれなければプレイヤーの経験にはなりませんから、突然そんな設定が出てきても「???」としかなりません。
※そのために回想シーンなどを用意して、経験を共有するのです。

その点キュービットシナリオでは徹底されていないために、物語が佳境へ差し掛かったあたりでのキュービットの生徒会長(プレイヤー)に対するセリフに「え、そんなことあったっけ?」というように思わせかねないのがいただけません。

すべてを終えてのエピローグにしても「間」の使い方が下手だったり、セリフが陳腐すぎることですっかり萎えてしまいました。

とりあえずキュービットシナリオを最後にプレイすると少しは印象も変わるかもしれませんが、私はいきなりキュービットシナリオに入ってしまったので良い印象は受けませんでした。

続いて難易度について書きます。

3DダンジョンRPGであったころに比べれば難易度は適正化されているかと思います。本作では四季の概念があり、春から始まって冬で終わります。季節の移り変わりとともに行けるダンジョン等に変化が現れる仕様になっています。

この時、ダンジョンの様相が変わることによってほとんどのダンジョンの難易度が上がるわけですが。この難易度の上昇……敵の強さの変動が極端すぎです。

春などはシーズン通して非常にヌルい難易度で、夏もしっかりレベル上げをすれば問題ないです。しかし、夏から秋、特に秋から冬への移り変わりの時の敵の強化っぷりはやりすぎです。

夏の終わりで戦闘が余裕しゃくしゃくだったのが、秋になったら手こずるようになったり。秋の時点ではサクサクだったのが、冬になったとたん全く歯が立たなくなったり。

一応低難易度ダンジョンが年中通して行けたりもしますが、それでも場合によっては「詰み」になる可能性は大いに残されています

従来通りそれでもコツコツとレベルを上げたり、錬金などで強力な装備を手に入れると、状況が一変してヌルゲーになっちゃうバランスも相変わらずなので、難易度が平易化したとはいえ全体のバランスは今作もあまり良いとはいえません。クエストを受けてホイホイ進むと圧倒的に戦力不足になるので要注意です!
※レベル上げや装備拡充は意識的に行いましょう。

最後にパーティ編成に関して。

これは単純な話ですが、自由にキャラ作成をして組み替えられるのは3人だけです。単純にパーティ編成の幅がガクッと下がっていることにほかなりません。

転校生も装備や学科の設定は自分で出来ますが、自分で作ったキャラほどの愛着が沸くかどうか……。 面白い試みではありますが、本作の構想的に固定にするのはどうかなと思いました。

その他気になる部分

長くなって参りましたが、まずはテキストの不備。と言ってもあるキャラの言動・表現についてですが。

リットンという、面倒くさがり屋のセレスティアがいます。何かにつけて「めんどうくさいな~」と言うキャラでありますが、一部クエストで「面倒臭い」と発言。

ここで見るべきは「ひらがな表記」か「漢字表記」かです。耳で聞く上ではなんら変わりないのですが、活字としてみた場合では印象が異なる。

本作ではパートヴォイス搭載なのでまだしも、ノベルティなどでやってしまうとキャラ描写の一貫性に欠けるという意味で少々問題です。意味もなく言動やイメージが変わってもいいことはないです。

続いてキャラメイクですが、自由度が低下したのは残念でなりません。

今回は顔タイプと髪型がセットになっているため男女各2種類ずつ、計4種類しか用意されていません。髪色も相変わらず数種類しかありませんし、装備も武器くらいしか外観が変わりません。

おまけにヴォイスのクオリティが全体的にイマイチで、実用的なものが限られるために多くのキャラを作るとダブりは避けられないかも。ネタ系の声はともかく、外見に合わないオッサンヴォイスとか単に下手っぴなヴォイスとか……。当然、妄想の阻害になる危険性のみが高まっています。

最後に戦闘演出。

これはシリーズ通してもチープというかしょぼいのは伝統ですが、3Dのバトルシーンを構築したにもかかわらずこのモッサリ感とガッカリ感はちょっといただけません。

息継ぎ、殴る、食らう、倒れる、消える……これらのモーション全てがカックカクで雑な印象。魔法などの演出も一様にヘボく、見るべきところはまずないかと。

幸い戦闘スピードアップ(演出省略)やオートバトルがあるので、この残念な部分はほとんど見る機会がなくなりますが……だからと問題ない事にはなりません。

せっかくグラフィックが活きる仕様になったので、全体的なブラッシュアップが望まれます。

総括

新生ということで意欲的な部分に好感を持てる一方で詰めが甘い部分が多すぎますね。

見栄えが目に付きますが、それよりもバランス取りをもっと徹底してほしいなと。難しい(けどやりごたえがある)のと、バランス崩壊して理不尽なものは別物です。RPGゆえにそこは永遠の課題ですが、だからこそ、真摯に向い合って欲しいのです。

一周目クリアには20~30時間程度と思われ、周回プレイはそれよりも短くなるでしょう。コンパクトにまとまっており暇つぶしには丁度いいライトさが魅力なので、軽く遊ぶものがほしい時には選択肢になるかもしれません。

他方すでに積みゲーがあるとか他に欲しい物があるときは後回しでもいいかもしれません。

最後にこれだけは言っておきます。

ロジェの泣き顔最高!!!

『新・剣と魔法と学園モノ。 刻の学園』公式サイト

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
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