なんでもかんでも「モンハンのパクリ」と切り捨てるのはナンセンス

最近、PS Vitaでハンティングアクション(狩りゲー)が多く発売・発表されていることを受けて、あちらこちらで「モンハンのパクリ」という言葉を聞くようになりました。

確かにモロにパクったHunter Bladeのような作品もありましたが、今発売・発表されている狩りゲーをなんでもかんでも「パクリ」と切り捨ててしまうのはどうなのかな?と思いましたので、その辺りを書いてみます。

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パクリではなく、参考

パクリというのは、悪意ある悪質な盗作・剽窃・(ソースコードや素材の)流用/コピーなどであり、参考にした・模倣した・オマージュ/パロディとは境界線が曖昧ながらも分けて考えるべき行為です。

今回つつかれている作品には「ソウルサクリファイス」や「討鬼伝」などが挙げられますが、果たしてこれらの作品はパクリだったのでしょうか?

これら作品をパクリと呼ぶ人たちは、大体がぱっと見の第一印象でパクリと認識しているようです。

無論、第一印象はパクリであるかどうか以前に、作品・商品として重要な箇所であるので、そう思わせないような工夫が必要であるという意見もごもっともなのですが、それで全てを決めてしまうのも乱暴です。

問題となるのは、「HUD(ここでは、HPバーなどのことだと思って下さい)の類似性」「協力し、強敵に立ち向かうコンセプト」という部分なのでしょう。 この共通項をして、「パクリ」と断定しています。

しかし、それは果たしてパクリ足りえるだろうか?と。 要件かもしれないが、それだけでパクリと決めつけるのは早計ではないでしょうか。

狩りゲーを制作するにあたって、成功した作品に学ぶのはおかしいことじゃありません。 まして、HUDもコンセプトの類似性も、“そういうジャンルだから”似通って当然とも言えます。

モンハンは「ハンティングアクション」というジャンルの作品

モンハンは唯一的な作品だと信じて疑わない、そういうファンボーイがいることは理解出来ますし、存在することも知っています。 しかし、モンハンが唯一的な存在という認識は少々問題があります。

モンハンは「モンハン」というジャンルではなく、「ハンティングアクション」というアクションゲームのサブジャンルに分類されるのです。

もちろんこれは後続の同系作品が出現したことで、包括的に分類したものではあります。 が、往々にしてサブジャンルというものはそういうものなのです。

ハンティングアクションの要件とは何でしょうか。 なんといっても外せないのは「狩り」の要素でしょう。

一人もしくは複数人で獲物に対峙し、道具・罠や知恵を駆使して追い詰め、狩猟する。 そして獲物から得たもので装備を充実させ、更なる狩りへ――。 これが狩り(ゲー)のコンセプトでしょう。

これはモンハンだけが持つ特性ではなくて、ハンティングアクションというジャンルそのものが持つコンセプトなのです。 それゆえ、同系作品が概ねこれに則った内容であったとしても、それはモンハンのパクリだからではなく、ハンティングアクションというジャンルだからなのです。

そして、ハンティングアクションを作ろうとするからこそ、成功例であるモンハンに学ぶのです。 HUDなどはモンハンのインターフェースが最適に近いということで参考にされているのでしょう。 であるからこそ、後続作品もだいたい同じようなHUDになっています。

参考は悪か?

いいえ。 成功例に学ぶ、理想形に学ぶ、先人・先達に学ぶ。 それそのものは悪ではありません。

ちょっと考えてみて下さい。 今、私たちの周りにあるもので、「完全なオリジナル(ゼロから……無から有を生み出すようなもの)」と呼べるものはどれだけあるでしょうか?

ええ、ほとんどないと思います。

しかしそれでも新鮮・斬新だと感じるものが多くあります。 本当の意味で全く新しく唯一的なものではないのに、そんな感情を持っているのです。

それらは、「既存のアイデアやコンセプトを組み合わせたハイブリッド」です。

Aというアイデア・コンセプトと、Bというアイデア・コンセプト。 それらは既に存在していたモノ。 これだけモノが開発され、考えだされ、生み出されているのですから、考案した時点で既に存在しているとしてもおかしくありません。

しかし、AとBを組み合わせてみたモノはこれまでにあったでしょうか? 更に、他にある既存のCやDなどを混ぜ込んでみたら?

ミックスする要素などが増えていくほど競合・重複する確率は減っていきます。 そしてそれが今までになかったものであったのなら、私たちはそこに革新的なモノを見出し、新しいと感じるのです。

ゲームなどの表現に重きをおいているモノの場合はそのあたりが非常にデリケートな部分であり、であるからこそ、パクリ論争は絶えることがないのですが、こういった参考・ハイブリッド的な考え方があるからこそ、多くの新しいモノが生まれているのだという事実は無視してはいけません。

モンハンもある作品を参考にしていた

なぜこういう話をしているかというと、何を隠そう、モンハンもある作品を参考にして作られているからです。

その作品とは、「ファンタシースターオンライン(PSO)」です。

動画はGC(ゲームキューブ)版のものですが、最初にPSOが登場したのは2000年。 DC(ドリームキャスト)で産声をあげました。 モンハンの初代が発売されたのが2004年ですから、4年前に生まれていたわけです。

ジャンルこそ(A)RPGとACTという違いこそあっても、どうです、HUDなどはそのままモンハンに引き継がれているではありませんか。

左上にHPなどのゲージ、右下にアイテムなどのパレット。 罠を有効に使い、巨大な敵にみんなで立ち向かうというコンセプトも、素材を集めて武器を合成するというシステムまでPSOには既に備わっていたのです。

これに、よりリアルな「狩猟」というコンセプトなどを混ぜあわせ、ハイブリッドにしたものがモンハンということになります。

もし参考にするというのが悪であるとするならば、モンハンもパクリ作品であるということになってしまいますよね。

更にこのPSOだって、元々は海外のDIABLOだのといったハック&スラッシュ系RPGなどにルーツがあるといいます。 そうして元をたどり始めたらきりがなく、意味もありません。 まして、それをしてパクリだなんて今となっては言われることもありません。

また、ハイブリッドを否定することは、「ウィザードリィ」と「ウルティマ」をミックスさせて生み出された「ドラゴンクエスト」を否定することになりますが、ドラクエをパクリと切り捨てることができますか?

おわりに

以上の理由から参考と模倣を、パクリ・悪と呼ぶのは浅はか・無意味であり、それどころかモンハン自体の存在を否定しうるということであるという結論になります。

そもそも、パクリに関して声をあげるべきはメーカー側でしょう。 そうして不当に利益を奪われ、あるいは名誉を傷つけられた場合に訴訟を起こすなどするのはユーザーではなくメーカーです。

更にこうした参考・模倣にいちいち訴訟を起こしていたら新作ゲームなど生まれなくなってしまいますし、今回の件で言えばCAPCOMの方も参考・模倣を行なっている点も数えきれないほどあるのです。

もちろん大陸系に多い悪質な本当の意味でのパクリ・パチモノ(創作性を著しく欠き、粗悪で、唾棄すべきモノ)に対してはユーザー間でお互いに注意喚起すべきでありましょうし、こういうモノに対してはメーカー側も法的措置を取ることもありますから、やはりパクリと参考・模倣は区別されるべきものであると言えます。

ただまぁ、こうして話題作が出た後に類似・累計作品が多くリリースされて、パクリ呼ばわりする層はいつでも一定層存在しました。 そして恐らく、これからも同じような光景が見られるのではないかとも思います。

そうして「あれもパクリ」「これもパクリ」という声が途絶えることはないのでしょうが、そんな声を気にすることなくメーカーにはどんどんお互いに良い点を参考にし合い、ハイブリッド化し、新しく面白い作品を生んでいってもらいたいと私は思います。

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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