「ボーン・アルティメイタム (原題:The Bourne Ultimatum)」 レビュー

ボーンシリーズ三作目。 本作で、ジェイソン・ボーンの物語は一区切りつくことになります。

前作からそのままの続きで、ジェイソン・ボーンは負傷しつつもなんとかモスクワで追手を振り切る。 それから少し後、ある記者がトレッドストーン作戦などの情報を掴み、世間に公表しようとしていた。 CIAは情報漏洩を防ぐべく対抗しようとするが、ボーンもこの記者に目をつけ、接触を試みる。

そうして浮かび上がったのは、トレッドストーン作戦になりかわる新たなもの、「ブラックブライア作戦」であった。 新たな陰謀について調べるうち、再びボーンはCIAに追われることとなる……。

作を重ねるごとにアクションシーンよりも頭脳戦・心理戦に比重が傾いている気がしますが、別段マイナスになっていないところがすごいですね。 CIAの追及の手をあの手この手で振り切る様はやはり痛快そのもの!

本作をもってボーンの記憶の多くが戻り、同時に謎もほとんどが解明。 シリーズの決着をつけるにふさわしい、堂々の完成度です。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • シリーズ最高峰の頭脳戦・心理戦。
  • これまでとは異なるタイプの追走劇を取り入れ、今一度新たな緊張感をもたらしています。
  • 謎のほとんどやボーンの過去が明かされることによる、大きなカタルシス。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • エンディングがこれまでに比べて締まりないように感じられる。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • とくになし。
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マンネリを振りきれ!

シリーズものの天敵といえばマンネリズムですよね。

シリーズの色といえばそれまでながら、作を重ねるごとに陳腐化していきますから、衝撃や感動は薄れていくというもの。 バカ殿くらいに徹底してしまえば逆に受け入れられる(諦められる?)のですが、なかなか難しいですよね。

そこのところ、このボーンシリーズはマンネリを感じにくい作りになっています。

基本的にCIAがボーンを追う、ボーンが色々なモノ・状況を駆使して鼻を明かす、という文字にしてみると非情にシンプルな構造になっているんですが、この見せ方が機知に富んでいて毎回心地良いんですよね。

 そこへ更に、今回は追われるターゲットやその見せ方を切り替えてきました。 ボーンだけならまだしも、戦闘経験のほとんどない人物を追走劇に織り交ぜることで、緊張感が更に増しています。

過去にはヒロインの存在もありましたが、本作では単独行動せざるをえない場面も多いため、より不安感と緊張感を煽ることに成功していますね。

一方でファンサービス?的なものも

一方で、あえて過去作を思わせるシーンを織り交ぜることによって、ファンをニヤリとさせることも忘れません。

例えば、ここまでシリーズ皆勤賞のニッキー。 彼女も追走劇に巻き込まれるわけですが、彼女もまた、頭髪の染料を洗い流し、髪を切り落とします。 その様子を見つめるボーンの瞳には一体なにが映しだされていたのでしょう。

まぁ、個人的にニッキーが好きなキャラなので出番が大幅アップしただけでも嬉しいのですが、そうしたシーンでも過去作との繋がりを匂わせているのは好印象です。

また例えば、エンディング。 詳述は避けますが、やはり“水”が映しだされています。

“水”はこれまでにも冒頭や導入部など、様々なシーンで登場しましたが、それをエンディングに持ってくるのは統一性があるということでイイと思いました。

ただ、このシーンに関してはちょっと不満もあります。

エンディングはちょっとスマートさに欠ける

状況などはネタバレになるのであまり書きませんが、エンディングの映像はある人物Aが水中にいる様子と、ニュース報道をある人物Bが見聞きしている様子が映し出されます。

で、このシーンで感じたのは、水中の人物Aを映しすぎだってことです。

そもそもあんなに長く映す必要はなくて、むしろニュース報道の音声と人物Bの最後の表情さえあれば十分であると思うんですよね。 その方が余韻も残ろうものですが、実際にはくどいほどに人物Aの姿を映しすぎていました。

この点は次の作品であるボーン・レガシーを見るにあたって、あえて印象強くしようとしたのであればいいのです。 しかし元々はこのボーン・アルティメイタムでボーンシリーズは完結予定であったらしいことから、引っ張るわけでもなく、はじめからこういうシメにしようということだったのでしょうね。

個人的には最後の最後で「そこまで映さんでもいいのになぁ」と思った次第です。

総括

ちょいとシメ方には不満があるものの、それ以外の部分は平均以上のものを持つ素晴らしいエンターテインメント作品に仕上がっています。

ここまで作品を見てきた多くの人にとって、納得・満足の行く真相やCOOLな追走劇などなど本作もまたスクリーンから目が離せない一品。

次に続くボーン・レガシーは本作と同じ時系列ということで、ボーン・レガシーを見るのであれば鑑賞しなおしておくべき作品ですし、もういっそのこと一作目から見直すと、同じシーンでも見え方が違って見えるかもしれません。

そうした、複数回の観賞に耐えうる一連のシリーズでした。

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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