「遊星からの物体X ファーストコンタクト (原題:The Thing)」 レビュー

1982年公開のSF映画遊星からの物体X (原題:The Thing)へと繋がる物語を描いた前日譚。もちろん、単体でも楽しめます。

とあるノルウェーの発掘チームが南極で巨大な円盤を発掘した。のみならず、乗組員とみられる検体も発見されたことで、高古生物学者のケイトはアメリカから呼ばれることになる。

南極でケイトらが見たものは、10万年以上前にはここにあったと思われる円盤と、まさしくエイリアンであった。エイリアンの氷漬けの”遺体”を氷塊ごと持ち帰り調査することにしたケイト一行であったが、”遺体”は氷塊を突き破り逃走する。そして、これがきっかけで、基地は疑心暗鬼渦巻く地獄へと化すのであった。

1982年の前作から続けて見ましたが、これもまたいい作品ですね!前作を思い切りリスペクトした作りで、ファンサービス旺盛な作り。疑心暗鬼の描き方も中々完成度が高く、前作ファンも満足できる完成度となっています。

もちろん、初見さんも本作の持つ魅力に惹かれることでしょう。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 冒頭、本編、結末、エンドロール直前……どれもこれもが、前作を見た人には嬉しいシーンが盛り沢山。
  • 初めて見る人でも8割以上は楽しめます。
  • (ほぼ)同じ事件に前作とは異なるアプローチで攻めるので、また違った楽しみも。
  • 疑心暗鬼に陥っていくさまをなかなかうまく描けています。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • 初見さんにはエンドロール直前のカットの意味がわかりにくいかな?

 icon-frown-o ここがダメ!

  • とくになし。
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詳細

The Thing再び――。

っということで、1982年に公開された作品のプリクエル(前日譚)ということで描かれた本作。前作が名作との名高い作品なので、本作の制作陣のプレッシャーも相当だったでしょうが、見事にプレッシャーに押しつぶされない作品を作りあげてくれました!

物語の筋としては前作に至るまでの数日間を描いているため共通項も多いのですが、異なるアプローチを仕掛けている部分も多く、二番煎じという印象はありません。

むしろ、前作を強く意識・リスペクトしたカットや演出が非常に多く、これらに気がつくと前作鑑賞済みの人は「おお……!」となってニヤリとできることうけあいです。

逆に鑑賞していなくても、本作のモダンなテイストも感じられるSFモンスターホラー・サスペンスな本作は素直に楽しめるかと。逃げ場がほとんどなく、舞台となる基地の規模の小ささから閉塞感もあって中々スリリングです。

エイリアンのギミックは、今となっては特に驚くべき描写も多くないです。しかしそれでも、独特な特徴が色濃く現れた造形は、えも言われぬ不気味さを感じるには必要十二分です。

異なるアプローチでの、”見分け方”

一連の作品の醍醐味は疑心暗鬼の描写であり、その過程で重要になるのが人間かエイリアンかの”見分け方”です。

本作でも、前作と同じような理屈によるテストを試みるシーンが有るのですが、それのみならず、本作独自の”見分け方”を模索するシーンもあります。こちらで使われる「とある設定」も伏線にもなっていたりしますし、新たな疑心暗鬼の形を生み出していて、基地内の人間の対立の緊張感を増幅しています。

何よりも、前作よりも確実性に欠ける手法だからこそ、どの人物がエイリアンなのか簡単にはわからないようになっているので、前作を見ていた人も楽しめるギミックになっていました。

エンドロール直前のシーンはどう映るか

エンドロール直前には、物語の結末とは別に重要なシーンが収められています。そう、本作が前日譚として作られた意味である、前作へ明確に引き継いでいくシーンです。

こちらの再現度は非常に高く、構図を限りなく一緒にして撮影されたワンシーンは非常に印象的。ここまで続いてきた謎解きも、ここで全てが”氷解”するシーンであります。

一方でこのシーンは、はじめて本作で「遊星からの物体X」という作品に触れる場合は、何を意味するかわかりにくい一面があります。しっかりと伏線を拾えていればわかる人も多いでしょうけど、ピンと来ない人も結構いるんじゃないかな?と。

まぁ、明らかに前作を鑑賞した人向けのシーンなので、ピンとこなくても問題はないのですが。

総括

本作は、この手の前日譚モノの中ではかなり完成度の高い部類になっているかと思います。

普通に単品としてもスリリングで楽しめますし、前作鑑賞者にとっては「多分こういうことがあったんだろうけど、具体的には何があったんだろう?」という答えが明確に得られるという点で価値のある作品です。

本作のテーマ曲も、前作の印象的な曲を意識・アレンジしたもので繋がりを示唆していますし、そういったリンクしている感じが本編中以外でも多くあって嬉しいのです。
※タイトルロゴ「THE THING」の表示演出とかも前作を踏襲しています。

しっかりと前作への誘導もしていますし、逆に前作から見ても楽しめる上、単体でも問題のない作品と、かなり優秀な作品です。

個人的に国内での知名度はイマイチだった気がしますし、海外でも評判はかんばしくなかったようですが、そんな評判とは裏腹に上質な作品であると断言出来ますよ。面白いです。

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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