今回は、ルプスの華やかな冒険の陰で誕生し、風のごとく駆け抜けた漢――もうひとりの光の戦士の話をしようと思う。
忘れてはならないのだ。 彼の存在があったからこそ、今の私があることを。
※長文注意。
リムサ・ロミンサに降り立つ新たな光の戦士。その名はヴィトリオール
新たな光が生まれようとしていた。
「いい、天気だなぁ」
つい先ほどまで見知らぬ異空間でシャア・ア○ナブルと戯れる夢を見たり、海賊に襲われてみたりしていたにもかかわらず、なんとものんきな男である。 いや、大器を持つ漢、なのかもしれない。
眩しげに日差しを見やるその双眸は、人の良さそうな人相を形作っていながらも、時折底知れぬ意志の光を煌めかす。 ――彼には、3つの大役があった。
- 新たに買ったゲームパッドの動作確認
- PC版の設定煮詰め
- リムサ・ロミンサでの序盤ストーリー確認
いずれの任務も、彼には一体何のことかわからなかった。 そもそもどこで、誰から、その役目を押し付けられたかも判然としない。 思い出そうとすると、日に焼けた書物がどーしたとか強烈な日差しがうんたらのアレのような感じで全く思い出せないのである。
別に歳のせいで物忘れが激しくなったわけでは断じてない。 断じて。
その証拠に、彼はいたって健脚である。 およそその体躯に似つかわしくない俊敏さ・跳躍力を持っているし、常人の目には見えぬ空間に“乗る”こともできた。 こんな健康的な肉体を持っている男がボケているわけがない。
……ともあれ。
その理由などはわからないものの、その任務がどれほど重要なものかは、身体が覚えている。 その見知らぬ依頼者に導かれるが如く、ふらりふらりと、しかし確実に意味を伴って足が向く。
はじめにそれが意味ある導きだと悟ったのは、リムサ・ロミンサの上甲板層へ向かった時。 それは、強烈な意志に引きずられたと言っても過言ではない。
ヴィトリオールは美しい町並みをゆっくりと堪能したかったのだが、彼の足は意思を持ったるがごとく、何処へか向かった。 自分の意志が反映されない、己の肉体の挙動。 本来恐るべき状況であったが、大らかな彼は少し不服そうながらもそれに従った。
そうして辿り着いたのは、モーグリの下であった。
「なにかご用クポ?」
「モグモグキャップとケットシーとカーソルと幻想薬が届いているはず。 さぁ、出してくれ」
「!? 貴様……なぜそのことを」
最後のセリフをモーグリは言っていないだろうが、ともかく彼は自分宛に絶対なる支配者“ウンエイ”から手紙と贈り物があることを知っていた。 そう、知っていたのだ。
言葉の通り、モーグリは彼に帽子とミニオン、あやしいクスリを手渡した。 ヴィトリオールは自分の言動と、そこから起きたひと通りの不可解な出来事を不思議に思いつつも、どこかで必然とも感じていた。
「うむ、なかなかに悪くない」
彼はモグモグキャップのかぶり心地に満足していた。 しかし、またもや大いなる意思の意向により、帽子は非表示にされてしまった。 キャップの感覚が名残惜しかったが、抗えそうにもなかったので、街の人の悩み事を解決することにした。
そのくらい自分でやれよ!と言いたくなる気持ちを抑えての奉仕活動である。 といいつつ、しっかりと対価と経験をもたらしてくれるので、存外悪くもない。
時には、おつかいだけでなく動物をいじめたり、害獣を駆除する趣旨の依頼もされた。 返り血を浴びるごとに、満たされていく力。 それはレベルアップへの期待。
そうして依頼をこなし、己を鍛え、はじめてその装備を新調できる機会が来た。
ピンク色ということで、自分が可愛くなってしまうのではないか?という恐れをヴィトリオールは抱いたが、杞憂に終わったようだ。 詳しくは指摘しないが、これは色々とヒドい。
見た目はヒドくなる一方だったが、反比例して彼はどんどんと力を手にしていった。 リムサ・ロミンサに降り立って数日と経たずして、彼の行動範囲は広くなっていった。
戦いの日々の幕開け
どれくらいの時が経っただろう。 とても長い時間が経った気もするし、あっという間だったのかもしれない。 彼は斧術士ギルドのホープとなり、人命救助を任されるまでになっていた。
しかしそうしてキャリアを積むと同時に、敵対するものも増えていくものである。
時にはク○イトスと敵対したり、
時には道行く他の光の戦士と共闘したこともあった。
特にこのFATEなる戦いというものは、彼一人の力で御するには大きすぎた。 勇んで戦いを挑んだはいいものの、戦闘開始直後は人がおらず、圧倒的不利であった。
――逃げるべきか。
死んでしまっては元も子もない。 三十六計逃げるに如かずとも言うではないか。 しかし、ここでこの大蟹の暴挙を見過ごしてもいいものか。 逃げてしまってはいけないのではないか。
と、その時である。 どこからともなくケアルが彼の身にもたらされたのは。
ポーションなどで命を繋いでいた満身創痍の身体が、見る見るうちに生き返ってくる。 そして嬉しい事に、続々と多くの光の戦士たちが集い来るではないか。
彼らには言葉はなかった。 なかったが、それは万感の思いで受け止められた。 そしてこう思えた。 まだ戦える、と。
……それでも戦いは長きにわたって続いた。 途中、ケアルが届かなくなったりと危ない場面もあったが、ジリジリと大蟹を追い詰めてはいた。
そして、ついに大蟹を討ち果たした。
この時、ヴィトリオールは人との関わりというものに感動した。 なにも告げずに馳せ参じ、ことが終われば散り散りに去っていく。 恐らく彼自身を助けに来たのではないのだろうが、それでも、目的を同じくして共に戦うというのは、なんと素晴らしいことなのか!と。
「ケアルありがとう!」
彼の思いはそのSayに集約されていた。 いや、DPSや他の人にも感謝だけれども、やっぱり癒やしって大事なんだよなぁ、とそういうことである。
もう少し人と触れ合ってみたいヴィトリオールはギルドオーダーを受注してみることにした。
人だ。 人がいる。 嬉しさのあまり先走り、敵陣に突っ込んでまさに“オーバーパワー”な一撃を繰り出す。 続く瓦解。 当然の混乱。 そこからの立て直し、収束。 そして決着。
あまりにもはしゃぎ過ぎた孤独なる漢・ヴィトリオールは己を恥じた。 恥じて、謝罪した。 そして、
「結果オーライですよ!」
と、たったそれだけの一言をもらっただけで、幸福の絶頂にあった。 純情なる漢である。
「同志、か」
望む望まないによらず“望むべくもない”同志――仲間というものにしばし思いを馳せる彼であったが、感傷にひたる時間を大いなる意志・依頼者も、そして彼の周りの環境も許してはくれなかった。
死闘、そして伝説へ……。
輝かしい太陽、広い海、そしてサブリガ。
いつの間にやら、赤き甲冑と腰回りだけあえて露出度を高めて無防備さを晒すという、非常にファッショナブルなナイスミドルになっていたヴィトリオール。
束の間の休息。
そう、本当に束の間の羽伸ばしであった。 彼の道中の奮闘により、課せられた任務のうちふたつは既に達成されていた。 残すは、リムサ・ロミンサの序盤ストーリーの確認……すなわち、リムサ・ロミンサからの旅立ちということになる。
再び歩み始めるヴィトリオール。 と、なにやら某所を、戦乱を起こさんとする輩が襲撃する可能性があるという。 しかも人手が足りず、防備のための兵力を割くことが難しいという……。
陽動かもしれないし、本隊襲撃かもしれないということで、彼は二つ返事でその防衛戦を買って出た。 旅の終りが近いことを薄々感じながら。
そうして彼は任務地へ赴く。 争いとは無縁そうな静かで和やかな雰囲気の土地であったが、間もなく、ここが戦場と化した。
襲い来る海賊……かなり数が多い。 味方と協力し、数を減らさねばならないだろう。
戦乱にあって、彼の心は澄み渡っていた。 人に言わせれば、それは“覚悟”というものらしい。
自分がなすべきことを、これまでは理解できていなかった。
しかし、今なら理解できる。 彼は戦い続ける必要があった。 逃げ出すことは許されなかった。 戦って、勝って、進まねばならなかった。 そして今、負けられない戦いがここにあった。
彼と、味方の尽力により、敵は崩壊した。 破壊の意思より、守る意志が勝った結果だ。
と、安心するも束の間。 なにやら怪しげな男が現れ、辺りが異空間のような景観に変わり、美しかった海と青空は黒く塗りつぶされてしまった。 そして現れる異形。
一瞬たじろぐヴィトリオール。 だが、逃げられない。 逃げない。
それに、漠然と彼にはある望みがあると知っていた。 誰かが、助力に現れるような――。
「ウォォォォアアアアアァァァ!!」
鬨の声とともに異形もろとも謎の男にオーバーパワー! 一気に畳み掛け、一人と一匹をまとめて地獄に送り返そうとした。
……この驕りが命取りだった。
敵の体力を削ってはいたが、同時に彼の身体も酷く傷ついていた。 今回もやはりポーションなどを使いつつ、来たるであろう“誰か”を頼みに全力で攻撃していた。
しかし、その“誰か”が来ない。
「まさか、読み違えたか?」
一瞬の焦り。 その時には既に、彼の体力はまさに尽きようとしていた。
と、その時!
「間に合ったようね!」
との声が霞みかけた意識の片隅で響く! そう、ヤ・シュトラが助けに来てくれたのだ!!
「おせーよ! 間に合ってねーから!! 俺死んだから!!!」
彼は初めて絶望と(見当違いな)怒りとともに地に伏し、意識を闇に溶かしていった……。
……と、気がつくと彼は五体満足でそこにいた。 そして、先ほど守りぬいたはずの土地が再び戦闘前の緊張に包まれていた。
「夢、か?」
いや、そんなはずはなかった。 現に、身につけていた装備に劣化・傷が見られる。 確かに自分は、死んだ。 はず。 なのに。
だが一方でどうだろう。 身体には今まで感じたことのない力、そう、困難を“超える力”が宿っているように思えた。
不審に思いつつも、彼は再び守るべき場所・人のために斧を担ぐ。 一度倒した敵だ、問題ない。 事実、あっさりと敵は散った。
そして謎の男と、異形との再戦。
「今度は……間違えないさ」
誰にともなくそう呟き、彼は異形のみを狙い突っ込んでいく……。
「(今度は)間に合ったようね!」
程なくして鮮明に届く彼女――ヤ・シュトラの声。 そう、これだ。 これでいい、これが正しく、あるべき戦いだったのだ。
強力な癒し手を加えたヴィトリオールに敵はない。 異形を滅し、謎の男も軽くひねってやった。 それで、終わりだった。
彼はこの功績が讃えられ、名誉ある晩餐会への出席が認められた。 そこで彼はまたも不思議な体験をし、彼こそは光の戦士の再来ではないかと――そう、一部の人に認識されるまでに至った。
そして、世界は彼の力を必要としていた。 リムサ・ロミンサ以外にもグリダニアやウルダハといった国家も、それぞれに特有の悩みを抱えていた。 その問題解決に彼こそが適任であるという。
メルウィブ提督はその可能性を見出し、彼に国家間の移動を可能にする許可証を授けた。 彼が、リムサ・ロミンサを旅立つ時がついに来たのだ。
それは同時に……旅の終わりをも意味していた。
皆がヴィトリオールに光の戦士を見ていた。 期待と希望に満ちた目で、旅立つ彼を見送っていたのだ。 だが、とうの彼はというと、彼らに対して申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうだった。
グリダニアに着いた。 彼がまっすぐに向かったのは……旅の終着地であり、終の棲家となるであろう“宿屋”であった。
彼は最後の任務、リムサ・ロミンサの序盤のストーリーを確認し終えたことで役目を終えたのである。 ということは、彼の長いようで短い旅も、ここで終わるのだ。 そして寝室へ……いや、伝説の領域へと足を踏み出すのだった。
彼の脳裏を、少ないながらも輝きに満ちた記憶が巡る。 いつでも彼の頭上には、広く青い大空が広がっていた。
「こうしていては、決心がつかない」
いつしか、大いなる意思――依頼者からの拘束も緩みつつあった。 ここで外にでたら、また冒険を続けられるかもしれない。 素晴らしい景色に出会い、そこで仲間と語りあえるかもしれない。
「……いや」
しかし、彼はその迷いを振り切った。 そして、ベッドに横たわった。 もう、二度と起きることのないかもしれない眠りに就くことにしたのである。
「役目は果たした。 あとは……また役目ができた時に起こしてもらえればいいさ」
のんきな口ぶりではあったが、それは大きな器を持っているからこそできた決断だったといえよう。 彼は、漢だった。
そして、彼は自ずから覚めることのない眠りに落ちていった。 いつかまた、あの大空を見上げられる時がくればいいな、とかすかな望みを胸に秘めつつ。
OSSAN IS FOREVER…
最後に、記事に登場しなかった場面でのいくつかのスクリーンショットを掲載しつつ、今回のプレイログを終えるものとする。
いつか再び、彼が目覚めることを願いつつ。
そして、以下はおまけ。
書いた人はこんな人
- 壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
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萌えるおっさんですなwwww
腰まわりだけ露出度高いおちゃめなおっさんに、実際にエオルゼアまで行って会ってみたいです///
しかしエオルゼアにクレイ○スさんまでいらしたとは…!(笑)