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「シェルノサージュ 失われた星へ捧ぐ歌」 レビュー

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アトリエシリーズでおなじみのガストが放つ、新感覚コミュニケーション・アドベンチャーゲーム。

プレイヤーはPS Vita(通信端末)を通じて異世界と接続し、イオンという名の少女と交流を深めて失われた彼女の記憶を取り戻してゆく。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • ヒロインであるイオンが可愛い。
  • 中々に魅力的な世界観と、可愛らしい外観とは裏腹に少し重めなストーリー。
  • それらを彩る優秀な楽曲群。
  • タッチスクリーンで得られる、よりキャラに親近感がわくデザインや、挑戦的なシステムの数々。
  • キャラデザ再現度が高めで可愛らしい3Dモデル。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • イオンも生活リズムが設定されているが、昼夜逆転どころではない不規則生活なので思い通りのプレイはしにくい。
  • リアルとは言えるものの、プレイヤーが何もすることがない(できない)時間が多い。
  • 一方で、まだまだ会話パターンが少ないため反応が同じ物が頻出したりとリアルさを削ぐ場面も。
  • 基本的に映像品質は高めだが、まれに物理エンジンの挙動不審やテクスチャの不具合も散見された。
  • 追加エピソードは数百MBであり、全編をプレイするとなると数GBの余裕が必要となると目される。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • 度重なるアップデートで以前よりは快適になったものの、未だにエラー落ちが頻繁に発生する(無論、エラー落ち自体は他タイトルでもあることはある)。
  • ストーリーを進める上で必要となるシャール(妖精・精霊のようなもの)のシステムが一長一短が激しくバランス取りが難しい。
  • ストーリーは現在未完結。今後続きのエピソードが配信されるが、のちに有料配信となる。本作を購入しただけではストーリーを100%楽しめない。
  • AVGスタイルであるのにバックログでの音声再生が未実装。
  • 用語があるにもかかわらず、後から用語辞典のようなものを閲覧できない。
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詳細

まず、この手の作品では重要なキャラクターの魅力ですが、本作はクリアできていると思います。

ヒロインと呼べる者はイオンしかいないわけですが、このイオンはほんわかしていて、まったりしていて、照れ屋で……とフワフワした魅力が持ち味

時に意外な一面をのぞかせますが、それも相まって広く受け入れられそうな人柄がのぞけます。そこが無難すぎるとか媚びてるとか言われそうですが、ストーリーで明かされる過去を見ると納得できるフシも。

そんなイオンが暮らす世界はミニマルで閉鎖的な一室。

採集などで外出している以上外界も存在するようですがプレイヤーには確認できません。その代わり、記憶を取り戻す上で必須となる「夢セカイ」が存在し、そこではスチームパンクやレトロな雰囲気を味わえる、どこか退廃的なセカイを堪能できます。

そこで描かれる物語(記憶)は華やかなキャラクターによる、少し重いストーリー。希望が見えにくく、絶望が徐々に色濃くなりつつある中で、ある一角で小さな希望が芽吹く――それが、本作収録の第一章ということになります。

さてこの物語を追ってイオンの記憶を取り戻していくのが骨子ではありますが、単なるAVG/NVLではないのは既報の通り。PS Vitaに搭載されたタッチスクリーン機能やカメラ機能を生かしたインタラクティヴ性もなかなかあります。

タッチスクリーンではつついたり、呼んだり、なでたりができます。それによってイオンは状況や場所に応じて様々な反応を返してくれます。

これまでにも、あたかもゲームの中に人物がいるかのようなデザインにしたものはありますが、それらに匹敵する状況のバリエーションは見逃せません。

カメラ機能を使ったものではバーコードを読み取ってシャールを誕生させるシステムが存在。モンスターファームのようにバーコードごとに個体が違うというシステムであり、お気に入りを探すのが結構楽しいです。

その他、ネットワークとシャールについて書いていきます。

ネットワーク

プレイヤーと他プレイヤー(厳密には作中のすべての人間も含む?)は、パラレルワールドに存在する同一人物、という考えに近くプレイヤー間もゆるいつながりが持てるのが特徴の一つ。

例えば搭載されている簡易Twitterのようなもので他プレイヤーをフォローしたり、なにかしらの「つぶやき」のようなものを投稿したりとソーシャルな機能があります。そこまで本作は攻略情報が必要なデザインではないのが惜しいところですが、そういった情報のやり取りをゲーム内で完結できるようにしたのはなかなかよいかと(ただ、悪意あるユーザーによるネタバレとかあるかもしれませんが)。

他にも他プレイヤーのシャールをなでたり(体力回復、シンクロ率アップなどの恩恵あり)、同じシャールを共有している人同士のコミュニティがシャールごとに存在したりとソーシャルゲームに近しい印象のシステムが多いですね。

シャール

妖精、もしくは精霊のようなもの。バーコードを読み込み、HymP(ヒュムノポイント)を消費して雇用します。

彼女らを夢セカイでの廃墟に配置し、修復することでストーリーが進行(=イオンの記憶が戻る)仕組みになっています。

彼女らは6人まで雇うことができ、更に個体ごとに四属性のいずれかを保有しています。廃墟にも属性が存在して対応する属性を持つシャールでないと修復できないので注意が必要です。

能力が高い個体だったり人気なシャールほど雇用費が多くかかりますが、属性さえマッチしていればどれだけ能力が低かろうと時間さえかければ廃墟を修復できるので、その点では詰むことはないでしょう。ただ、四属性全て揃えておくほうが安心です。

更にシャールウィッシュというシャールからの依頼に答えればHymPがもらえます。このHymPは前述の雇用費以外にもシャールのスキルや外見のカスタマイズにも使用出来るので、多くのシャールを雇っておけば長期的に見ればHymPは集めやすくなります。

シャールシステムは微妙な点も多いものの、詰まない程度にいい感じにゆるくてぬるいのが○。これがもっとシビアなシステムだったら詰む人が多く出たことでしょう……。

ゲームではなく、仮想コミュニケーションツールであることの弊害

画期的なシステムを多く搭載した本作ですが、やはりイオンにも生活リズムがあるというのはなかなかのものでしょう。電源を切っていたりスリープモードでも生活を続けるのですから、放置しすぎてもデメリットはありません。

ただ、彼女の生活リズムは昼夜逆転どころか非常なトリッキーなもので、さっき起きたばかりなのにすぐに寝たり、いつ見ても食事中だったりと運が悪ければ交流を持てません。実際にイオンの生活リズムを自分好みにするべく矯正を試みたことがありましたが、すぐにいつものおかしな生活リズムにもどってしまい、矯正を諦める結果に……。

このシステムは歯がゆい思いをする反面、自分のいつもの生活リズムでは確認できないイオンの生態を確認できる可能性があったりする点では「あえて」ランダム性を高めているのではないかとも思えます。ただ、それにしても自分の生活リズムに最適化できるようにしたほうが都合がいいのですが……。

これに関してもう一つ、当然ながら彼女も生活をしているので食事をとったり、眠ったり、出かけたり、シャワーやトイレにも入ります。問題は、これらをしている間は「プレイヤーの行動が著しく制限される」ということです。

ソーシャル機能を使ってダベるのもいいですが、そうそうタイミングが合うとは思えません。

睡眠時のみは夢セカイへ行く事ができますし、タッチすることで反応を返してくれることもあります。しかし外出時は本当にやることがありません。結果、別のタイトルを起動したりするなどしてシェルノサージュから離れることになりがちなのです。

デザイン自体が「攻略する」モノではないので、そんなまったりしたものでも仕方がないのですが、一プレイあたりの持続性は長くはないと感じます。

市場の崩壊と、未完成品であるということ

悪い点としては二点。

一つ目はシャールのシステムで、シャールはシステム上他プレイヤーと共有して管理することになります。他プレイヤーが稼いだ経験値が反映されて自分のシャールもレベルアップしたりしますし、放っておいても能力が上がることもしばしば。

しかしそれと同時に雇用費もどんどん上がっていくことから、新規プレイヤーが開始した頃には気に入ったシャールの雇用に必要なHymPが高騰して手が出せない状況になっています。現に感謝キャンペーンで三体まで0HymPで契約可能にするなど救済措置を取らざるをえないほど、人気シャールは必要HymPが高騰しています。

無論前述のように能力が低くても属性さえ合えば修復は可能なわけですが、どうせなら自分の好みのシャールを雇いたいですよね。シャールの共有といったシステムは面白いと思う反面、新規加入者にとってはデメリットのほうが多い残念な一面もあります。

※現状では別の施策によって状況緩和が目指されてはいます。

もう一つはストーリーについて。

本作購入時にプレイできるのは第一章のみで、第二章以降を楽しむには配信を待たねばなりません。 第二章は無料配信とのことですが、第三章以降は有料配信の模様です。

ここで問題となるのは、本作を買っただけでは完結しないどころか追加料金が発生するということ。

Vitaとしてのフルプライスである5,000円も出させておきながら物語が完結せず、いくら安価とはいえ追加料金を支払わなければエンディングまで到達できないというのはいかがなものでしょうか。

いわば未完成品を売りつけて、後から有料アップデートで完成させていくということです。
総額にしてみれば7,000円~8,000円、もしくはそれ以上にもなる可能性だって十分にあります。

おまけにエラー周りなど商品としての品質がイマイチな点もあって、商品としての評価は×。この点は擁護しようがないですね。

誤解のないように言っておきますが、有料配信(DLC)が悪とはいっていません。
有料配信を受けなければ作品として完結しないというデザインがダメだと言っているのです。

本作システムをベースに有料コンテンツにて広がりをもたせたり、2としてナンバリングされるものをDLCで提供するという試みも面白いでしょう。しかし、ひと通りストーリーを追うにも10,000円近く(しかも携帯ゲーム機で)かけさせるのは今の状況ではよしとはいえませんね。

総括

コンセプトやアイデアは非常に面白く、魅力的なタイトルと言えます。と同時に試験的であり、未完成であるのも事実。

(良いか悪いかはともかく)不具合の多さはだいぶ慣れてきましたし、発売当時に購入したのもあってシャールの雇用でも困ってはいません。が、今のこの薄い内容でこの価格は厳しい。

おまけに物語の完結までにもう一本シェルノサージュが買えるくらいの投資をしなければならないということなので、今後継続してプレイするかは非常に怪しいというのが本音です。第一章及び本体を無料配信、以降有料配信という形の方が褒められたものではないもののまだマシです。

事前情報でも知っていたとはいえやはり商品としては褒められたものではないと断言できます。それだけに、キャラクターや世界観の作り込みと出来栄えが非常にもったいない作品でもあります。

イオンにどれだけの愛を注げるか――これによって評価は変わるでしょうが、広く言えるのは「オススメとは言い難い」ということです。

Ciel nosurge ~失われた星へ捧ぐ詩~

書いた人はこんな人

壬生狼

壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。


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