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「ROBOTICS;NOTES (ロボティクス・ノーツ)」 レビュー

ROBOTICS;NOTES (通常版)

「世界を救うのはヒーローじゃない――オタクだ。」というキャッチフレーズで展開される、科学AVGシリーズ第三弾。

主人公・八汐海翔(やしおかいと)は種子島の某高校のロボット研究部の「幽霊部員」。たった2人しか部員がいない弱小部の部員にして、通常は一切参加していない。日々平和で、特に何も起きない毎日を送るだけ。

……だったはずなのだが、ある日たまたま「君島レポート」なるものを見つけた時、彼は大きな陰謀の存在に気づいてしまうことになる。

「STEINS;GATEは超えられない」という言葉通り、前作や前々作超えはならなかった印象です。

いずれも奇抜な設定や印象を与えるキャラ・ストーリーが見ものでしたが、本作はそういったものに欠ける「凡作」というのが相応しい出来栄え。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • ハズレではない程度の品質。トンデモ設定にも関わらず、あまり気にさせない描き方は本作でも健在。
  • ポケコンで見る日光の処理や、キャラの3Dモデルはなかなか高品質。
  • キャラは少しクセが強いものの、良くも悪くもキャラは立っている傾向。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • Tipsの完成度がやや低め。情報に古さを感じたり、誤字があったり。
  • キャラの3Dモデルの外観・挙動に齟齬・矛盾が生じる場面がいくつかある。
  • 戦闘シーンのコマンド入力の存在意義がイマイチ。
  • 好みはあるだろうけど、登場ロボデザインは総じてダサく感じる。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • システム上では分岐があるものの、物語は時系列的に一本道であるため分岐の意味が無いどころか問題も生じている。
  • 主人公である八汐海翔に感情移入がしにくい。私の場合は最後まで好きになりきれずに終わった。
  • プロローグは物語の佳境から始まるという近年多い映画的手法を用いているが、どうにも冗長で心をつかめないというメリットが死んだ内容。
  • 決して悪くはないものの、盛り上がりやカタルシスに欠けるシナリオ。
  • 登場人物はキャラが立っていると書いた一方で、深みには欠ける印象も。
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詳細

本作はPS3やXbox360で発売されただけあって視覚的な品質はなかなか高め。キャラクターは3Dモデルで表示され、それなりにヌルヌル動いてくれます。

私がオッと感じたのは、ポケコン(スマートフォンの進化系の端末)のアプリという設定の、「居る夫。」を用いての視覚効果。

これを用いた「可視化」などのギミックはもちろんですが、それよりも単純なところで日光の表現がイイ!と思いましたね。一瞬ホワイトアウトしたりする表現なんかが。

単なる紙芝居ではなく、しっかりと「見せる」部分にも気を使っているのが、プレイして好感をもった部分です。

キャラクターに関しては、その濃さは5pb.らしさが感じられるものになっています。

私個人の感想としては、アホの子で空気が読めなくて愚直なのが「めんこい」瀬乃宮あき穂、あざといというかテンプレ的すぎるけどだがそれがいいな腐女子・神代(こうじろ)フラウあたりがいいキャラをしていると感じましたね。

一定条件下での愛理や、あざとさもあるものの日高昴なんかも意外性があるかもしれません。そんなこんなでキャラの濃さは折り紙つきです。

詰めの甘い3Dモデル設定・指定

さて高品質な3Dモデルですが、問題もあります。それは地の文などでの描写や設定と3Dモデルの挙動の不一致です。

「頷いた」との表記があっても3Dモデルの方は全く違う動きをしていたり、あるキャラが足を骨折して松葉杖状態なのに、松葉杖をつかずに自立していたりと。特に後者は前後のシーンでは松葉杖をついていたりするので、なおさらおかしなことに。

確かに全ての描写に対応するモーションを用意するのは大変なのかもしれませんが、その割に別角度でのモーションを収録していたりとこだわる配分がよくわからない……w

魅力的・印象的なモーションもいくつかあったのでもったいない印象です。

無意味な分岐、魅力のない主人公、ストーリーテリングの微妙さがネック

本作にもシナリオ分岐というものがあるのですが、ズバリ、蛇足だと断言できます。

本作のシナリオは12からなるフェーズで成り立っており、分岐したとしてもギャルゲで言う「個別ルート」にあたるものは事実上存在しません。ヒロイン一人に焦点を絞ったルートはあるものの作品全体の時系列に沿った断片であり、ヒロインA→ヒロインB→ヒロインC→……というように連続性があるわけです。

ここで問題となるのは、トゥルーエンド(というか1つの作品としてのエンディング)に至るまでは攻略順が特に制限されていないため、プレイヤーによっては時系列がメチャクチャにプレイするハメになったりする可能性が非常に高いというわけです。

分岐を左右するのが「ツイぽ」というTwitterライクなもので、これを使ってフラグを立てることになるのですが……返信(事実上の選択肢)が悪い意味で悩む候補ばかりで、シーンごとにいちいちチェックしなければならない手間などもあってシナリオ・システムの両方から見て分岐を取り入れたのは無駄です。

完全一本道のNVLにした方がストレスなく物語を楽しめたのではないかと。
※攻略サイト見ながらのプレイをオススメします。

また、主人公である八汐海翔が感情移入しにくいキャラというのがネック。過去シリーズの主人公も概ねダメな奴でしたが、作品を通して成長したりカッコイイ!と思える場面もあったりしたものです。

が、本作の主人公にはそれがなく、ただの無気力で上から目線のゲームバカ。ことあるごとに「そういうならキルバラ(作中の格ゲー)で俺と勝負して勝ってみせろ」とそればっかりで、周囲の人間がげんなりするのもうなずけるほどです。

たまにいいところを見せても普段があまりにもアレなのでプラスマイナスゼロなわけで、結局「やっと成長を見せた」物語終盤や結末に至っても、とうとう主人公を好きになりませんでした。

普段は無気力で空気が読めないやつだけど、ここぞでは頼りになる――。そんなキャラは例えばマンガやアニメ、ラノベでも多く見受けられる設定です。私は好きじゃありませんが、ある程度のニーズがあるのは理解できます……が!

本作の主人公に関しては見ていてイライラさせるばかりでニーズにマッチしているとも思えません。

シナリオの見せ方も最初からコケています。

近年のハリウッド映画なんかではクライマックスに近いシーンから映画を始め、いいところで切ったところで時間を巻き戻して追体験する、という手法をよく取ります。これはいきなりインパクトの大きいシーンを見せることと、その過程を想像させることで観客のハートを掴む手法の一つなのです。

そしてそれっぽいものを本作でも採用していますが、あまりにもお粗末なもので。延々と「まだ知らない」キャラの会話がダラダラ続くだけで、そこで展開される会話内容も、ゲーム開始直後で情報がゼロな状態では「想像の余地もなく」、興味も持てませんでした。

さすがに再び同じシーンへ戻った時にはそれなりに盛り上がりは感じましたが、有効にこの手法を取り入れている作品のそれには遠く及びません。

なお、そんな感じで始まる本作は開始10分ほどで飽きた……というか興味が薄れ、2ヶ月も放置した後に重い腰を上げてクリアしました。まぁ、冒頭ほどにはつまらなくはなかったのが救いではありましたが。

総括

シリーズが良作→秀作ときて、本作で凡作になってしまいましたね。

相変わらず奇抜でトンデモな設定にもかかわらず凡作という印象を受けるのは、シナリオの不出来・不発か演出面の問題でしょう。

冒頭のつかみがマズいし、総合的に好感を持てないと物語に入り込めないという重要なファクター・主人公が感情移入がしにくいというのも×。

キャラとの絡みが希薄なのはファンディスクで補うという魂胆があるんでしょうが、ぶっちゃけこの主人公とヒロインらとの絡みを見たいとは思えませんし、そんな前提で描写を希薄にされたのであればたまったものでもありません。

と、シリーズと比較して中々に辛い内容で書いてきましたが、実は本作は駄作ではなく「凡作」なのは間違いないのです。期待せず、過去作にとらわれずにプレイすればまずまず楽しめるとは思います。

ただ、三作品をプレイしたことで5pb.の本来の実力というものが透けて見えてきてしまったのは事実で、それはいいのか悪いのか。

ROBOTICS;NOTES【ロボティクス・ノーツ】公式サイト | 科学アドベンチャーシリーズ第3弾

書いた人はこんな人

壬生狼
壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
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