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「貞子3D」 レビュー

貞子3D  2枚組(本編2D&3D blu-ray・特典DVD付き) 貞子が飛び出す!……という、ただそれだけのために作られたような映画。

そこにはかつてジャパニーズホラーの傑作と言われた面影はなく、突っ込みどころ満載のモンスターパニックコメディに成り下がった。

もうネタバレなのか判断できないくらい色々書いているので、記事を読む場合はあらかじめご注意のほどを。

 

 icon-smile-o ここがイイ!

  • オープニングから中二病・邪気眼全開!なよくわからん入りにはじまり、ヅラ刑事や、痛々しい管理人、石原さとみのCOOLな殺陣など、お笑い要素満載。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • 呪いのビデオを呪いの動画に現代風にアレンジしたのは面白いが、細かな設定で都市伝説にありがちな矛盾をはらむことに。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • 最近の邦画に多い印象の妙ちくりんな映像効果や演出でチープさを露呈、恐怖感を感じさせないカメラワークなどが本作がホラーではない別のものにすり替えている。
  • ご都合主義的な展開、突っ込みどころの多い演出、つまらないビックリ演出。
  • リングシリーズが好きであるほどガッカリさせられる内容。それもそのはず、監督が変わっておりホラー映画のノウハウは持っていないであろうキャリア。
  • それに合わせるかのような大根演技の数々。
  • どうしてこうもスケールの小ささを感じるのか。C級クラスのにおいがする。
  • まぁなんというか……褒めるところがなく、悪い点を挙げ出したらキリがない。
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詳細

都市伝説ってこういう矛盾を抱えているものが多いんですよね。

○○した(見た)人はみんな死ぬ・行方不明になる。

じゃ、 なんでそんな噂が残ってるの?と。そりゃまぁ、その様子を実況していたとか、誰かに漏らしていたとかであれば、噂になるのかもしれないけれど。でもたいがいはそこで「作り話」ってことになっちゃうんですよね。

本作でもそれは一緒で、動画を見たら自殺しちゃうんだそうで。リングでは猶予があったために前述の矛盾はクリアできていましたが、本作では見たらすぐに死んじゃうようなので噂が立ちようもないようなんですが。
※しかも物語が進んでくると追加情報も出てくるんですが、その追加情報ってどこから出てきたの?

こういう細かいところをつついていちゃ楽しめないですよね。ええ、わかっていますとも。

でもね、本作はそういうところまでつつきたくなるほど、全体的にダメダメな作品なんですよ。

ホラーとして致命的な欠点

もうね、何がダメって全然怖くないんですよ、本作。

“音で”ちょっとびっくりさせられたことがあったんですけど、そんなんじゃジャパニーズホラーなんて言えませんよね?しかも毎回同じようなパターンで陳腐化していくので、「ああ、また来るな」ってのが見え見え。

パラノーマル・アクティビティが加速的につまらなくなっていくのと同じような原理ですね。

それと最近の邦画に多い(というほど邦画観ませんが)印象の、ハイコントラストの変な視覚効果というか。あれ何なんですかね?

多分異様な空気とか、そういうのを手軽に出したいんでしょうけど……えらくチープに見えるだけで全く面白く無いんですが、本作でもやっちゃってます。 モダンな手法を取り入れるのはいいのですが、効果的な方法で使ってほしいなと。

カメラワークも工夫が見られず、退屈ですね。

ヒロイン(石原さとみ)はドヴァキン

ここで突然ですが、The Elder Scrolls V: Skyrimというゲームのドヴァキンと呼ばれる存在について語らせて頂きます。

彼らは同作に多く出現するドラゴンに唯一対抗できる、いわば選ばれし者。彼らは特に強靭な喉を持ち、声で雪崩を起こしたり敵をバラバラにしたり、天候を操ったりなどできる強大なチカラを持っているのです。
※シャウト、スゥームなどと呼ばれるチカラです。

そんな中で作中でよくネタにされる技に「FUS RO DAH」というものがあり、これは敵を吹き飛ばしたり、物を破壊できる初歩的にしてなかなか強力な技なのです。

はい、こんな感じです。

さてなぜ突然こんな話をしたかというと、本作のヒロインは、このドヴァキンである可能性が高いのです。

彼女の悲鳴はPCのディスプレイや窓ガラスを粉砕し、敵対するものを駆逐するのです。これが前述のシャウトと呼ばずしてなんと呼ぶ!

おまけにモンスター化した貞子との戦闘シーンもあり、それまでオロオロ逃げ回っていたはずなのに急に鉄パイプなどの得物を持って、殺陣としか言いようのない少ない動作で敵を一撃で倒したりと。

あんた、普通の女教師じゃないだろ?やっぱりドヴァキンだ!……っということなのです。

面白いのは、その次のシーンではまた怯える可愛らしい女性に戻るという事なんですよね。実際そうやって猫かぶってる女性も少なくないので、その恐ろしさを映像化したと言えなくも無いです(超解釈)。

男性諸君、あなたがたが思うほど、女性はかよわくない。むしろ男よりもたくましいぞ!!

まぁそれを抜きにしても、よくもまぁ、ちょうど手の届く位置に鉄の棒やらなんやらと便利アイテムが落ちているものですね。しかも何度も何度も。

RPGでダンジョンに宝箱に武器とかが都合よく入っているような、ああいった何か強大なチカラでも作用しているんですかね?

最初の違和感は間違いじゃなかった。これはホラーじゃない!

映像面で突っ込んだハイコントラストな謎効果で早速出鼻をくじかれるのですが、きっとここを乗り越えればそれっぽい物語が展開するに違いない!……と淡い期待をしたものですが、当然裏切られるのですね。

そもそもリングシリーズはそういったあからさまな視覚効果とか、ハデハデしいものとは対極にある、冷え冷えする空気とかがウケたのです。

その点で、もうプロローグで真逆を行っている本作には、リングがリングたるゆえんだったものを求めるべくもなかったのです。

前述のとおりちゃっちいモンスター化した貞子のような何かを、そこら辺で拾った武器で華麗に倒していく美しき戦士・石原さとみ嬢を「この女教師、できる!」とか言いながら観るアクション映画とも言えます。

で、結局根っこの部分とか全体的に何を見せたかったのかわからんのです。

リングでは貞子の出生とかそういったバックグラウンドまで気になるように、チラホラと情報をうまい具合に出していましたが、本作は貞子ありきで始まるのでそういった謎とか奥深さもないし、デジタル化された貞子(Sとか呼ばれてたなぁww)という名前の妙ちくりんなバケモノが、なんかしらんけど人を殺している、という以上のものがないんですよ。

で、結局ドヴァキンの石原さとみがそのバケモノと対決することになるという、なんというかどこに重きを置きたかったのかもわからない、いわばアマチュア然とした漠然とした内容なんですよね。

監督は小説原作の恋愛ドタバタもの?とかを撮っていた人らしいんですが、ホラーとかのノウハウがあるように感じられない撮り方でしたね。どころか、リングシリーズをちゃんと観たの?どこが面白かったのか、ちゃんと理解した上で制作に踏み切ったの?と問いたくなる内容で。

3D採用とかニコニコ動画(動画周りで関係してきます)とか、ネタを詰め込むのはいいけどそこが先行してシナリオがダメなんじゃいい映画が撮れるわけがないよね、っという見本となってしまっています。

スケールの小ささを感じさせられるのは技量の無さ故か

リングシリーズも、ロケーションは広大じゃないんですよ。むしろ狭く閉鎖的で壮大な物語じゃない。でも、スケールの小ささなんて感じなかったし、そもそもそんな事考えもしなかった。

ところが本作鑑賞中は常にスケールの小ささが感じられたんです。チープさもそれに拍車をかけていたんでしょうけど、やはり演出の見せ方なのか……C級臭さがすごいんです。

いかにも「セットですよー!」というような作りと見せ方、現実味の薄いその光景や人物描写。低予算映画にはよくあるよね、っていう感じです。

こう、テレビ用ドラマなら面白いんじゃない?程度というのが苦笑せざるを得ません。

総括

ここまで辛辣に(ネタバレ的に)書いてきたものの、まだ書き足りないくらいです。それくらいひどい作品でしたね。どれくらいリングの再来を期待して劇場へ足を運んだ方がいたのかは今となってはさっぱりですが、その方たちには同情申し上げます。

本作は再三書いてきたように怖い系ではなくビックリ系で、しかもビックリする箇所が少なく、苦笑する箇所が大半という、コメディタッチのお化け屋敷的モンスターパニックアクションとなっています。

染谷将太などちょっと面白い俳優を発見できたのがせめてもの収穫ですが、全面的にクソ映画好き以外にはオススメできない内容・出来です。

作中セリフに「お前じゃない」というものがあるんですが、この作品に対してそっくりお返しします(コレジャナイ的な意味で)。

本作の内容よりも、本作の続編が制作決定という事実のほうが私にとってはよっぽど恐ろしいです……。

2012.5.12公開 映画『貞子3D』公式サイト

貞子3D (Twitter)
やけに人当たりがよく、恨んでるとは思えません。

ぶっちゃけ予告観れば十分だと思います。

書いた人はこんな人

壬生狼

壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。

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