こちらで更新継続中。「REC/レック3 ジェネシス(原題:REC 3: Genesis)」 レビュー

「REC/レック3 ジェネシス(原題:REC 3: Genesis)」 レビュー

POV(一人称視点)ホラーの傑作・RECシリーズ第3弾。ハリウッドリメイク版ではなく、本家の3作品目。過去作と同時刻、別の場所のエピソードという形になっています。

本作ではなんとPOVから脱却。普通の映画と同じ手法で大半の映像が撮影されており、大幅に恐怖感や緊張感が減退。「REC」という呼称もなりをひそめ、単なるゾンビ映画になってしまっています。

とはいえ、単体で見ればまずまず楽しめるのも確か。過去作になかった、ゾンビ(感染モノ)映画らしいユーモアなども取り入れられ、どこか懐かしい印象も。

 icon-smile-o ここがイイ!

  • 冒頭の結婚式まわりの映像の作りこみが良い感じ。
  • ヒロインを筆頭に、それなりにみんなキャラクターが立っている。
  • 80分という尺もちょうどよい。
  • REC1との繋がりを示唆する演出があるが、それに気づかないor過去作を知らずとも支障をきたさない内容。

 icon-meh-o 微妙・惜しい

  • リアリティとユーモア(ギャグ)との間で揺れる、様々な演出の数々。従来のファンには受け入れがたいかも。

 icon-frown-o ここがダメ!

  • なんといってもRECらしさや、RECが魅力的であった部分のほとんどを失ってしまっていること。
  • 登場人物の行動にリアリティが感じられない部分が多々あり、ツッコミを入れたくなる。
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詳細

POV作品って最近特に多いですよね。

パラノーマル・アクティヴィティ、クローバー・フィールド。古くはブレア・ウィッチ・プロジェクト。特に前者のブームに乗って、粗製濫造というべき模倣作品で溢れかえりました。質は言わずもがな。

……が!そんな中で模倣に走らず、独自の魅力を放ち、圧倒的緊張感と恐怖感、臨場感を植え付ける作品が、ひとつだけあったのです。それがREC/レックという作品でした。

RECはこれまでのPOVに多いような、どこか掴みどころのない印象や冗長なシーンが比較的抑えめで、ひたすらエキサイティングでエンターテインメント性の高い作品だったのです。かの作品はPOVの完成形といえる内容でした。

そのRECが「全く同じ舞台」を使って作った続編は、やや賛否分かれる内容となってしまいましたが、1作目とは異なるアプローチが非常に面白い作品になっていました。

そんなシリーズの3作目。今度はどんな手法で事件を描くのか?と楽しみにせざるをえないわけですが、蓋を開けてみれば、スピンオフ作品と受け止めるしかない作品になってしまっていました。

かろうじてREC、という印象

まず前提として知っておかねばならないのは、本作はPOVじゃないということです。冒頭と一部のシーンではPOVを使ったシーンがあるのですが、基本的には普通の映画と同じ撮影が行われています。

もうこれだけで、RECの持っていた魅力がどこかへ吹っ飛んでしまいます。更に、REC(録画)という意味も失ってしまいますので、ますますRECらしさが消えてしまいます。

そうして描かれる本作は、よくある感染モノというかゾンビ映画というか、そういう類のものです。緊張感と恐怖感は希薄であるだけでなく、ユーモアさえ盛り込んでしまう始末。従来のファンにウケる気がしません。

では本作はRECの名を冠しただけの別物か?といえば、限りなく正解に近い間違いかと思います。

本作をRECとしてなんとかつなぎとめているのが、メディロス(メデイロス)の存在と、映像でしょうか。

メディロスは、過去作で名前が明かされた、ある「女」です。そのメディロスが、ある形で本作にも登場。今回が初見という人には直感的にそれが何か理解し、過去作を見てきた人には本作に息づく彼女の脈動を感じられる、かも。

また、あるシーンでは過去作の舞台となったアパートを報道する模様が小型テレビに映しだされており、今現在ここで起きていることとリンクしているんだ!と過去作からの視聴者に気づかせてくれます。

これらは細い導線と言えますが、RECたるギミックと言えましょう。これらがなければ評価は大きく変わっていたかもしれません(悪い方に)。

POV撤廃の他にも緊張感を削ぐ演出が多い

一人称視点でなくなったことにより、映像から受けるインパクトはただでさえ抑えめになってしまっているのですが、本作には更にゆる~い感じを出してしまっていることがあります。

それが、ユーモアのある演出です。

ユーモアといっても、多くの人が笑えるかどうかは別にして……悪ノリとでもいうべきか、ゾンビ・ホラー映画らしい笑いのようなものが本作にはチョコチョコと出てきます。

私はゾンビ映画も見るのでその辺は楽しめたわけですが、ただ、RECの描いていた臨場感や緊張感とは相反するものであり、RECとしては入れるべきじゃなかったんじゃないかと感じました。

POVからの脱却は寂しいとはいえ、陳腐化しつつある手法から抜け出す意図もあったのだろうと思います(製作中の4もPOVではないらしいです)。これは理解できます。

しかし、本シリーズが持っていた比較的シリアスな空気感すら破壊してしまったことには理解を示すことはできませんね。ここまでアイデンティティを崩すのなら、完全に別の作品でやってもよかったのでは?と思ってしまうのも仕方がないかと。

ただ、ユーモアかリアリティか判別のしにくい部分もあります。例えば、花婿(男性主人公)は花嫁(女性主人公)と合流するために一度脱出した披露宴式場へ戻ることを決意するのですが。

この時に身を守る術としてモーニングスター(トゲ付きメイス・棍棒のこと)と甲冑、盾を身に着けるんですよ。これって(特に日本人には)滑稽に見えてしまうと思うんですよね。私自身「まさか……え、マジでコレ使うの?」って思いましたからね。

でも、この行動はあのような状況になったら「リアル」かもしれないとも思うんですよね。他に身を守る術がないとしたら、なんだって武器や防具にすると思うんです。その割にはあっけなく武器を捨てちゃったりするんですけれど。

ユーモア意外でのリアリティが低いのも、イマイチな点ですかね。前述の武器をすぐに捨ててしまうとか、「この状況でなぜそんな行動をとるorとらないの!?」ってな具合に、人物の行動に違和感を感じる点が何度も出てくるんです。

まぁ異常な状況下で常時パニック状態みたいなもんですから、普段じゃ考えられない行動をとってもおかしくはないのかもしれませんが……でも、あまりにも頭が回らなかったり不注意がすぎるのはどうなのかなと。

やっぱりホラーとかっていうのは「リアリティ」がある程度ないと、現実に引き戻されてしまってちっとも怖くなくなってしまうんですよ。ゾンビランドみたいな、おバカ路線に突っ切っているものならともかく、怖がらせようという意向のもとに作るのであれば、中途半端な演出や展開は没入感を損なうだけです。

しかし、細かいところの作りこみはさすが!

酷評気味の本作ですが、やっぱりうまいな!っと思うところもあるわけです。

冒頭は結婚式→披露宴と移り変わる映像で、ここらでPOVも使われています。この映像の作りがうまいんですよ~!

まず最初はDVDを再生する演出から始まり、新郎新婦の幼少~出会いなど馴れ初めのようなフォトギャラリーを表示。次いで映像が切り替わり、挙式前で賑わう式場の様子に移り変わります。

このDVD再生の演出からしてうまいんですよ!これもREC(録画)らしさと言えるのかもしれませんが、いい意味で素人っぽさを出しています。写真のサイズがバラバラだったり、トランジション(画像切り替え)が安価な動画編集ソフトを使っているような感じだったり。

挙式での映像もみんな自然体で演技できていまして、本当の挙式の模様を眺めているような、和やかな気持ちにすらなりました(残念ながら、POV終了と同時にホラー映画っぽい演技に切り替わっちゃいますが。

このプロローグ(導入部)だけで20分弱なのですが、尺もちょうどいいんです。平和な様子に飽きてきたな~っというあたりで、いよいよ異変が起きてくるという塩梅になっているのです。ちょっと注視して見ていると、一見平和そうな挙式~披露宴でも異変の予兆や、本編に関わる伏線があったりして無駄に冗長ということではありません。

そういう意味で、よくあるゾンビ・感染ものよりは導入部の作りこみと、異変への切り替わりがスムーズかつ効果的だと感じました。ここはさすがに技ありといったところですね。

また、本作を動かし彩る登場人物もキャラが立っていてユニークです。登場している時間は短めだったりしますが、印象に残る人物ばかりです。

そして忘れた頃にドババン!と登場することもあって、キャラのつくりや動かし方は(理解不能な行動を除いて)非常にうまかったのではないかと思います。スポンジ・ジョン(ボブではない)とか。

総括

悲しいかな、過去作のファンには見捨てられるであろう内容の本作。完成度は決して低くないのに、うまく路線変更ができなかったのが足かせとなっている模様。

ただ、本作を3としてではなく、スピンオフ作品として受け止めると、存外悪くないかもしれません。ハリウッド版も2作目では同時刻・別の場所・脱POVでやってましたし。

とはいうものの、3として銘打っているんだからダメだろ!という声があるのも事実で、ちょっとガッカリきたのは確かですね。スピンオフだとしても、RECに求めていたものがことごとく失われていたのは、ちょっと悲しいです。

とりあえず単なるホラームービーとして見る分には及第点かそれ以上として、RECとして見ると落第かもしれませんね。あまり期待しないで見るといいかもしれません。

なお、製作中の4も脱POVながら、ティザートレーラーを見る限りでは、過去作のような緊張感が「ありそう」な印象を受けました。こちらは2のその後を描くということなので、こちらに一縷の望みを託そうかと思います。

書いた人はこんな人

壬生狼

壬生狼(みぶろ)と申します。 miburo666/ルプス(Lupus)は概ね同一人物。 ゲーム、音楽、映画/アニメ、イラストなどが趣味。 ここでは音楽や映画/アニメを中心に、趣味関連の記事を書いていきます。

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